オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【誠実さって大事よ】
オランダのアムステルダムとロッテルダムの間にて部屋を探している。
私は今、住み込みで働いていたホステルの6人ドミトリーを出て一人部屋を手に入れた。
ただしその家賃が毎月払い続けるには現実的ではないので、住みだしてから周辺で新しい部屋探しを始めている。
ホステルに住んでいるゲストから、オランダで部屋を探すのは至難の業だと聞いていたので、覚悟はある。
知識はない。
まずはとにかく安い家賃で住みたいので、シェアハウスを探している。
日本のシェアハウスは、支払い能力に問題がなければ住人の同意なしに新しい入居者が来るが、オランダでは違う。
出ていく住人が募集を出して、残る住人とともにインタビュー形式で新しい住人を決めるのだ。
・・・というのが私の一回目のインタビューだった。
別例を経験したくはないが、一回目なので常識なのかは判断しかねる。
私の人生初のシェアハウスインタビューは前日に決まった。
たまたま今いる家と新しい家が近かったのも手伝ったのだろう。
「え!そんなに近いの?じゃあ明日ねー。迷ったら電話してね。はいこれ僕の番号」
こんなにフランクだった。
そして私は部屋を訪れて、違う側面を知ることになった。
リビングに鎮座するギターに目を輝かせて、ひとしきり部屋の説明を受け終えたところだった。
「君の前に一人来たよ」
私と事前にやりとりしていた張本人のドイツ人の彼が教えてくれた。
「君か前の人かで僕たちで話し合って決めるわ」
もう一人の残る住人のオランダ人が口にした。
「二人だけなの?」
「そ、何十通もメールがきたけど返してない!めっちゃ来たけどさ、僕は真面目じゃないんでね。」
なんだと。
全員にほぼ自動返信みたいなメールを返しているのかと思っていた。
なんと幸運なのだ。
この部屋に来れたことだけでありがたいと感じた。
いや、待てよ。
そういえば手土産のおかきを渡した時にオランダの彼は「ひゃーう!」とえらくテンションが高かった。
そういえば冷蔵庫を見せてもらった時、味噌と豆腐が並んでいた。
思わず「あれ?アジア人いる?」と聞けばオランダの彼の趣味らしい。
ほう。
偶然ではないらしい。
私は日本の文化に感謝しながら、床に就いた。
幸運を祈る。