オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【同族嫌悪だから】
オランダのホステルで住み込みしながら働いている。
私より先輩がこのホステルには二人いる。
一人はお馴染みと言ってもいいお喋りなインド人。
もう一人は個室をもらっている夜勤のフランス人だ。
フランス人は最初の週に「俺は白ワインしか飲まない」とのたまって私を「発言がフランス人すぎる」と驚かせたものだ。
彼だけ通り過ぎても挨拶しないタイプだ。
ここはホステル、私のように嘘でも愛想良くする人が多い中、彼は自身を貫いている。
そんな折、今週からフランス人がもう一人加入した。
6人の大部屋に身長の高い彼女が入ったことで、夜勤のフランス人を思い出した。
彼も細身で身長が高かったのだ。
そこで私は聞いた。
「夜勤の彼とは会った?二人になったらフランス語話すん?」
「なんで?」
「え、だってフランス人同士だから」
「あの人フランス人なんだ!?」
おいおいおい。
マジか。
夜勤のフランス人はよくホステルのパソコンをチェックしているので彼女の情報はもちろん知っている。
シン・フランス人が来て一週間になろうとしているが、何故知らないんだ。
「今度話してみ〜」
何故なら彼は大人数でいる時は黙るが、
二人きりになるとペラペラ喋ってくれるのだ。
その感じは私に似ているから居心地がいい。
大人数で喋る時は、会話のキャッチボールはなくお互いがマシンガンなのだ。
会話の主導権を握るか握られるかの戦争だ。
負けたって何も起こらないが。
しかし、私なんぞ3ヶ月の間に一回だけ日本のゲストが泊まりに来た時に「ようこそ〜」と言いながら内心ほぼ泣きついていったものだが、フランス人は賢い。
そういう人が嫌いだから、わざわざオランダの辺鄙な街のホステルに来ているかもしれないのだ。
知らんけど。