オランダワーキングホリデー情報局

オランダでのワーキングホリデー(2021-2022)の情報基地。毎年200人行っているはずなのに全員地球からログアウトしたのか、情報が少ないので立ち上げました。

【オランダの病院で働いている 14】

【オランダの病院で働いている 14】

 

オランダの病院の食堂でレジをしたり、患者の食事を作ったり、食器を片したり、食器を準備したり、ずーっと食にまつわることをやる部署で働く日記。

 

ここはオランダだなぁ、と感じた。

 

その日、食堂のレジに来た夫婦に「コーヒーはどこですか?」と聞かれた。

 

 

食堂にはスムージーやコーラは置いてあるが、出来立てのホットコーヒーは別で展開している。

 

食堂とは少し離れたエリアで、レジの背後にあるのだ。

 

食堂の入り口から正反対の場所なので、入り口からはもちろん見えない。初めて来た方には非常に分かりにくい構造だ。

 

ひょっとしたら今までにも何人か「コーヒーそっちにあるんだ!」と買ったダイエットコーラをかなぐり捨てたお客さんがいるかもしれない。

 

私はそちらのコーヒーコーナーをすっかり忘れて、学生や従業員用の無料のコーヒーマシンを指差して言った。コーヒーマシンもレジのすぐ裏手にある。

 

「あちらです。でも備え付けのグラスがないんで、あそこのフルーツの横にコップが積んであるの分かりますか?あそこからコップを持って行ってもらえば淹れることができます。無料です」

 

「無料なの?」

 

オランダに無料のものはないと重々承知していそうな年齢だったので鳩が豆鉄砲を食ったような表情をしていた。

 

「無料です」

 

したり顔をしてやった。

 

その間、私はどこまで商品を打っていたか忘れてしまった。

 

バーコードスキャンではなく、レジは全て手打ちなのだ。

 

死ぬほどある商品をいちいち商品名を覚えてボタンの配置まで覚えている我々はもっと給料が上がってもいいと本気で考えている。

 

「あ、どこまで打ったか忘れちゃった」

 

私は夫婦に聞こえるか聞こえないかの声で独り言を言った。

 

「え、それはごめん・・・」

 

男性の方が小声で謝ってくれた。

 

ここで謝ることが、オランダだなぁと感じたのだ。

 

日本だと無視か、無視に等しい感情のない「すいません」で終わる。

 

特に男性に謝られた経験がほとんどないように思う。

 

男性のかわいらしい「ごめん」を脳にこだまさせながら眠りにつくとしよう。