【この記事は差別的な内容を含みます】

オランダに住んでいる日本人:ringchang(31歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。

 

 

【アフリカの話】

 

オランダの住宅街にて、毎日鼻をかんでいる鼻水ずびずびな日々を送っている。

 

私はオランダに来る前、ホテルのレセプションで働いていた。

 

多国籍な人々と接する仕事だった。

 

中国とタイ、そしてベトナムのツアー会社と手を組んでいたホテルだったのでアジアのお客様がメインだった。

 

最初はツアー客しか受け入れていなかった、しかしそれでも利益が上がるほど山のようにツアー客が来てくれたホテルなのだが、空き部屋に個人のお客様も入れるように方向転換していった。

 

これを業界ではFIT(Foreign Independent Traveler)呼んでいる。

 

FITの国籍は大抵ヨーロッパかアメリカだった。

 

彼らはツアーを利用しないで、全部自分で手配するのがを好む傾向にある。

 

その中でも少なかったのはアフリカ系のお客様だ。

 

さて、そのFITの中でも珍しい国からのお客様がいた。

 

ザンビア(アフリカ)だ。

 

彼は始め、アメリカのパスポートを出し、予約名の検索に私がもたついていると、二つ目の国籍であろうか、ザンビアのパスポートもフロントデスクの上に置いた。

 

別に空港ではないのでパスポートの提示(全部)を求めているわけではないのだが、「もう一個パスポートを出さないとダメかも」と思ったのかもしれない。

 

その間、私が新米なこともあって無言だったがフロントを支配する威圧感のようなものに少し苦手意識を覚えた。

 

無言だが、「早くやれ」のオーラを出すあの手の人だった。

 

 

 

その後、ホテルに新しい従業員が雇われた。

 

初めてのアフリカ国籍の従業員だった。

 

もう名前は忘れてしまったが、確かガボン出身だったはずだ。

 

私は「ガボンから何故またこのホテルに・・・」と思ったが、従業員の半分はインドネシアもしくは台湾国籍の多国籍ホテルだった。

 

彼も居心地が良さそうと考えたのかもしれない。

 

結果、彼は夜勤中に私と一言話しただけで辞めてしまった。

 

多分1週間もなかったであろう。

 

今までホテルでは見たことのない”人の指示を聞いているときもずっとイヤホンをつけている”なかなかパンチの効いた勤務スタイルだった。

 

日本語を勉強中とも聞いていたが、勤務中はずっと英語で喋っていたようだ。

 

社内の公用語は日本語とされていたのでこれもあまりよろしくない。

 

この二つのことがあって、私のオランダ渡航前までのざっくりとしたアフリカへのイメージはあまり良くないものだった。

 

 

 

さて、話を先日に戻そう。

 

配達中、目の前をきゃっきゃしながらチャリを漕ぐ恐らくアフリカ周辺出身の少年らがいた。

 

遠くから「早くどかないかな」と電動チャリを飛ばしていたのだが、意外にも彼らは道を開けてくれた。

 

後ろからチャリが来ていてもどかない少年少女たちは結構いるので、ありがたい。

 

さっと通り過ぎようとすると目の前の少年は後ろを振り返りながらこう言った。

 

「コロナ」

 

 

 

火炎瓶を投げつけてやろうかと思ったが、残念ながら手元になかった。

 

この少年も仲間がいなければこの馬鹿みたいな発言をする勇気がないのは分かっていた。

 

道も街中ではなく、郊外の外れだった。

 

今なら大人たちにバレずに、仲間内の前で「あのアジア人に言ってやったぞ」と胸を張れる。

 

そんなふうに考えたのだろう。

 

私は少年たちの小さな順位争いに辟易しながら、何の反応もせず通過した。

 

 

 

しかし、これでまた私のアフリカへの印象が悪くなってしまった。

 

このままのスピードで世界が回ったら、私はその場のノリで揶揄する少年たちよりもっと根の深い憎悪を持ってしまう。

 

どうにか心象を消してくれるような良い人と出会えないものだろうか。

 

最近の悩みである。

【一番恐れていたこと】

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【ぶろろろろろ】

 

オランダの住宅街にて、暑いのか寒いのかよく分からん気候を1日で体験する”北風と太陽”の日々を送っている。

 

先日、一番恐れていたことを目撃した。

 

その日は家でのんびりしていた。

 

ナショナルジオグラフィックチャンネルを観たり、ポッドキャストでトムブラウンのラジオを聴いたりが私にとっての休息だ。

 

キッチンから紅茶を持ってくる途中、リビングの大きな窓に人だかりが見えた。

 

それは信号のない交差点に集まっていた。

 

あそこは車が飛ばすし、自転車も誰もいないと思ってスピードを出す場所だった。

 

事故が起きそうだったので極力低速で通過している場所で、私が常に恐れていることが目の前で起こったらしいのだ。

 

道に横たわる長身の人がそこにはいた。

 

真っ黒いジーンズを着たその人は救急車が来るまで一歩も動かなかった。

 

救急車が来た後も一歩も動かなかった。

 

”なんで早く行かないのか?”としばし眺めていると、マンションの上をブロロロ、と空気を震わせる音が通過した。

 

医療用ヘリの到着だった。

 

私はヘリコプターが目の前で着陸するのを初めて目撃した。

 

あんなに垂直に降りていくものなのか。

 

そして普通に道端に着陸できるんだ、そうかここは大阪とは違い道が広いものな、と感心してしまった。

 

どうにか黒いジーンズの人が助かりますように、と急いで離陸するヘリを見送った。

 

30人はいたであろう人混みは徐々に閑散としていった。

 

 

 

数時間後のニュースでこの街には、轢き逃げをするどこの風上にも置けない奴がいることを知った。

 

最近仕事にも慣れてきた。

 

ここは信号ギリギリで渡っても大丈夫、ここは飛ばしても大丈夫と分別する道も出来てきたところだ。

 

仕事である配達中に私はよくスピードを出したままカーブを曲がることがよくある。

 

道のど真ん中を突っ走っていて、対向車が来た時に「あ、ここ車も通れるのか!」と驚くこともある。

 

なんせ他人事ではないのだ。

 

用心するに越したことはない、と感じた週末だった。

【胃弱芸人】

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【もしくはズッコケ三人組

 

オランダの住宅街から、誰かが一方通行の道の真ん中に車を停めたままどこかに行ってしまったらしく、けたたましいクラクションを3分間聴き続けた私がお送りする。

 

先日、風邪を引いてしまった。

 

原因に心当たりはある。

 

その日、いつもより枕の上の方に頭を寝かせてしまったが、お尻を使ってずり下がるのが面倒だったのでそのまま寝てしまった。

 

掛け布団は胸の上あたりにあった。

 

いつもは肩までかけるのでかなり下だ。

 

夜中、目が覚めるとその掛け布団すら蹴っ飛ばしていた。

 

寒くて起きたのだ。

 

翌朝から鼻水が絶え間なく発生し、鼻声になってしまった。

 

私は今ユトレヒトの郊外に住んでいるのだが、家には同居人が一人いる。

 

同居人は風邪っぴきの私に夕飯を作りたいと申し出てくれた。

 

「夕飯はタンドリーチキンだけど、君も食べる?」

 

私「風邪だからおかゆとか胃に優しいものが食べたいのだが」

 

何故今日に限ってそんな胃で大暴れしそうなメニューなのだ、と思ったが、同居人は買い物を週一回にまとめ献立もその買い物の時に既に決めているタイプだ。

 

その日も体調ステータス”元気!”で食べたい献立に決まっていたのだろう。

 

本当はたまご粥が食べたかったが、そもそもここにはねっとり炊き上がりそうな米がない。

 

そもそも作ってくれるに越したことはないので「食べる」とだけ返事した。

 

風邪を引いて3日目、それは起きた。

 

同居人が仕事から帰ってきた。

 

反対に私はその日、しんどいので仕事を休んでいた。

 

 

 

「りんちゃんが風邪を引いて元気がないから、元気が出るものを買ってきたよ!」

 

手にはきらきらと光るチョコレートまみれのドーナツが載っていた。

 

4個入りだ。

 

何故だ。

 

何故、胃に優しいものを買ってこない。

 

なんだその甘くて美味しそうだが、今は食べたくない物体は。

 

と言いたかったが、声を出すとしんどいのでできるだけ喋りたくない。

 

聞けば、同居人は風邪など年1で引くか引かないからしかった。

 

ひょっとすると風邪とは、同居人にとって年に1回学校を休んで好きなものを好きなだけ食べられる日という認識なのかもしれない。

 

彼が日本にいたなら張り切って朝から”ざわざわ森のがんこちゃん”を観ていたことだろう。

 

「健康に産んでくれた親に感謝しなよ」と言いたかったが、声を出すとしんどいので以下略。

 

風邪を引いて4日目、今日が風邪最終日の気がしているので、彼の”元気玉”ドーナツは食後に頂く予定だ。

【血相を変えて走った話】

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【Aダッシュ連打】

 

オランダの住宅街にて、私の通勤ルートが教習車の通り道になっているので毎回邪魔な配達員を演じる日々を送っている。

 

先日、デリバリーの仕事中に九死に一生を得た。

 

それは私たちライダーが最もよく行くお店にいる最中に起こった。

 

マクドナルド。

 

ランチもディナーも、とにかくこの街の人々はマクドを注文する。

 

感心なのは意外とサラダの注文が多いことだ。

 

揚げ物を食べる罪悪感、サラダはそれを帳消しにする要因なのだろう。

 

その日は”この人が入っていれば注文がサクサク出来上がる”という人がカウンターで働いていた。

 

私はカウンターで注文番号を伝え、「もう出来てるよ」とこのマクドでは言われたことのないセリフを言われた。

 

仕事のできる店員さんにますます好感を持った瞬間だった。

 

体感3秒で店を出た後、それは発生した。

 

 

 

私の前を一人の中華系の女性がきょろきょろしているのが目に入った。

 

エプロンをしているのでどこかの従業員なのだろう。

 

彼女は私を見つけると駆け足で近づいてきた。

 

なんだ。

 

 

「あんたのチャリ!」

 

 

彼女が指差す方を見れば、今まさに私のチャリが”路上駐輪”で持ち去られようとしていた。

 

私は走るのがめちゃくちゃ遅い。

 

クラスでも5本指に入るほど遅かった。

 

それでもメロスは走るしかなかった。

 

すでに黄色いテープの貼られたおそらく罰金的な詳細が書いてあるタグを見て見ぬふりをして青いベストの悪魔に伺った。

 

「これ持ってっていい?」

 

青いベストを身につけた青い目の悪魔は「いいけど、ここは本来停めたらダメだからね」とつぶやいた。

 

彼は周囲の同僚に「彼女は仕事中だから見逃すことにします」と伝えた。

 

悪魔なのに意外と優しいではないか。

 

私はパニックだったので「はい、次から。はいはい次から。」と言いながらその場を去った。

 

まだ1時間しか働いていないのに、危うく【(悲報)今日の仕事終了のお知らせ】を受け取るところだった。

 

私はその足で先ほどの「あんたのチャリ!」の女性が佇む店に向かった。

 

彼女はネイルサロンの従業員だった。

 

「あなたはマジで今日の私を救ってくれたわ、ありがとう」と伝えると、笑いながら「いいのよ〜」と言ってくれた。

 

恐らくこの店にいると撤去悪魔の到着が毎度見えるのだろう。

 

周辺のマクドやサンドイッチ屋さんから出てくるライダーに適当に声をかけているのかもしれない。

 

もしくは、「なんか中華系っぽい子がせかせか働いてるわ」と日頃から目に留まっていたのかもしれない。

 

撤去悪魔に遭ってしまったが、啓示天使がいたので楽しい1日だった。

【お庭ロケ案件】

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【人の家を廃墟呼ばわりすな】

 

オランダの住宅街にて、風邪をひいた。

 

先日、私は仕事のフードデリバリーにて、一軒における配達距離の最長記録を更新した。

 

片道5.6キロ。

 

往復にして10キロ以上。

 

電動自転車だと片道15分で着けるのだが、大抵の配達先が3〜5分なので、大ハズレと言っていい配達先だった。

 

ベンチも何もない原っぱを通過し、初めて目にする教会を通過し、やっとのことで着いた一軒家。

 

庭には植物が生い茂っており、青々としている。

 

私はお隣さんに入りそうになり、「そうか、この鬱蒼としている方が配達先か」と慌てて入り口を探した。

 

探さないと見つからないほど、雑草や植物が伸び放題だった。

 

玄関先には庭用なのか、スリッパが散乱している。

 

インターホンを押した。

 

無音。

 

続けて2回押した。

 

6組ほどあるだろうか、スリッパの中にスニーカーは紛れていなかった。

 

もしこのご家庭が玄関先で靴からスリッパに履き替えるご家庭なら、今家には誰もいないということだ。

 

ドアにはメモが貼ってあり、走り書きで何か書かれている。

 

私には「家に誰もいなかったら」という文言だけ読めた。

 

後の文字は汚くて何かよく分からないので、時間帯責任者であるディスパッチャーにグループチャットで尋ねた。

 

何かのヒントになりそうな、走り書きのメモと共に。

 

するとディスパッチャーはすぐさま返事をくれた。

 

「それは家に人がいなかったら配達物は庭の納屋に入れといてって書いてあるね」

 

初めての体験だ。

 

それはAmazonから荷物が来た時に行う対処なのでは?と思ったが、私は彼に従い庭の納屋に向かった。

 

といっても、玄関から3歩で着く。

 

納屋に扉はなく、オートバイが停めてあった。

 

そのバイクの荷物入れがまるで”こちらにどうぞ”と言わんばかりにパッカーンと開いていたので、そこに置いた。

 

えっちらおっちら街中まで戻っていつもの木陰で休憩していると、近くにいたらしい配達のリーダーが声をかけてきた。

 

「ディスパッチャーからグループチャットに連絡が来てるよ」

 

私は、何かしたっけと先ほどの変な配達のことはすっかり忘れてアプリを開いた。

 

「りんちゃん、先ほどのお客さんから配達完了になってるけどまだ届いていないって連絡があったよ。どこに置いたの?」

 

 

 

お前が納屋に置けって言ったんだろうがい!

 

このニュアンスで書き込みたかったが、英語の関西弁を知らないので私は丁寧に返信した。

 

「納屋のバイクの荷台の上です」

 

それからディスパッチャーからの応答はなかったので、無事にフードを探せたのだろう。

 

あの廃墟のような配達先はきっと玄関のメモに”フードデリバリーを除く”と注釈を書き加えているに違いない。

【ビールシャワー】

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【勝利のビールかけ前倒し】

 

オランダの住宅街にて、昨日から急に花が散りだしたので毎日髪の毛に花弁や枝を絡める日々を送っている。

 

先日、NEC Nijmegenの試合観戦に行った。

 

あのままでは「ナイメーヘンはあんまりグッズがなくて小規模なクラブだった」という印象なので、今日は試合について書きたい。

 

ずばり、めちゃくちゃ楽しかった。

 

それもそのはず、席はゴール裏。

 

コアサポーターのひしめく"080"エリアではなく、その反対側だ。

 

つまりおっそろしい野次や一体感のある応援よりはある程度ゆっくり観られる。

 

おまけにアウェイサポーターのエリアの真横だった。

 

対戦相手はGAE(ゴーアヘッドイーグルス)、かなり気合が入っていた。

 

というのも、エールディビジはその日を含めて残り3試合とシーズン終盤を迎えていた。

 

両者の順位は僅差で、8位のGAEは今日負けると11位のNECと順位が入れ替わってしまう負けられない試合だった。

 

そりゃ盛り上がるに決まっているのだ。

 

 

 

前半も後半も枠内シュートはあれど、決めきれずにいた。

 

0-0のイーブンで迎えたアディショナルタイム

 

後半から投入された期待の新人”シソコ”がアディショナルタイム2分、喉から手が出るほど欲しかった1点を我々にくれたのだった。

 

後半は自分の座っている側のゴールがナイメーヘンのゴールだったので、自分の目の前でネットが揺れた。

 

大人たちはにわかに中腰になり、ネットが揺れるのを確認してから両手を掲げた。

 

恐らくゴール裏の全員がそうしたのだろう。

 

その瞬間、上からビールのシャワーが降ってきた。

 

 

 

 

何故だ。

 

私の気持ちを代弁するかのように、前方に座る黒の革ジャンにスキンヘッドの兄ちゃんが頭上を見上げた。

 

視線がこちらに降りてくる前に「私ではありません」と全力で首を横に振った。

 

どうやらかなり上の方から降ってきたらしい。

 

というか、君はいいじゃないか。

 

スキンヘッドなのだから。

 

口には出していない、何故なら彼はスキンヘッドの革ジャンだからだ。

 

私はもじゃもじゃ頭の右半分だけビール臭くなったが、そんなことはいい、関係ない。

 

勝ったのだから!

 

ビールは椅子も覆っていたので、先ほど買ったばかりのマフラータオルで拭いた。

 

マフラータオルとは、ビールまみれになったものを拭くためにあるグッズなのではと感じた1日だった。

【アヤックスは大富豪】

オランダに住んでいる日本人:ringchang(31歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。

 

 

【開いてないの!?】

 

オランダの住宅街にて、家の近所の森に野鳥がたくさん訪れるので双眼鏡が欲しいなと思う日々を送っている。

 

先週末、私は好きな選手のいるクラブの試合を観に行った。

 

ナイメーヘン

 

ドイツとの国境に位置する東の端のこの街は、美術館に当たり前のようにドイツ語の解説があり、ドイツからのお客さんが多く来るのだろうなと窺える街だった。

 

そこを本拠地とする”NECナイメーヘン”のスタジアムは中央駅から自転車で12分だった。

 

オランダあるあるだが、どのスタジアムも最寄りの駅は存在するものの、そこから10分は歩く。

 

最寄りの駅で降りて10分歩くよりも、どうせ試合後に街ブラするので少し離れた中央駅でチャリを借りて向かうことにした。

 

試合開始1時間前以上だったため、まだスタジアムへの道も空いていた。

 

スタジアム自体は2時間前から開場しているが、とにかくオランダの人々はぎりぎりに来る。

 

開始10分前くらいから一気に席が埋まるのだ。

 

では10分前に現地に来て急いで入場するのかと聞かれれば、違う。

 

彼らは開場時間にやってくるもののすぐには入場せずスタジアムの前にたむろし、一部の猛者はスタジアムには持ち込めない缶ビール(持参)を開けて試合の前に一杯やるのだ。

 

初めてこの光景を目撃した時は呆れたが、週に一回のお楽しみをより特別にするにはいい文化だなとも感じた。

 

 

 

スタジアムに着くと、思ったより人がすでに集まっていた。

 

臨時の小さなショップもオープンしているようだ。

 

私の好きなクラブ、アヤックスだと臨時のショップは3店舗は出るが、ここでは1つのようだ。

 

今日は小学生の団体客がいるらしく、チケットブースの前で先生から説明を受けている。

 

私は予約したチケットを受け取る際、半分あっていて半分間違っている予約名を見てにっこりした。

 

「それが私です」

 

嘘つけ。

 

半分私ではなかったが、チケットブースの彼女は私が差し出した身分証をろくに見もしなかったので何も問題はなかった。

 

さて、早く来た理由であるファンショップへ向かおう。

 

ファンショップとはグッズ売り場だ。

 

グッズ売り場、よりお金の匂いが薄れるので私はこの名前が好きだ。

 

アヤックスの場合、試合日はファンショップがごった返し入場待ちの列ができるほどの盛況だ。

 

ファンショップのありそうなメインゲートに向かい、入り口でぺちゃくちゃ喋っている警備員4人に伺った。

 

「ファンショップってこちらですかね?」

 

一番背の低い彼女が、満面の笑みで答えてくれた。

 

「今日は日曜だから営業してないよ」

 

WHAT?

 

「だから外に出てるミニショップで買ってね」

 

確かに、試合の日は日曜日だった。

 

しかし私はオフィシャルサイトで”ファンショップは試合開始の90分前から試合後30分営業しています”と確認済みだ。

 

そのファンショップとは、常設の大きなファンショップではなく、あの2畳くらいの小さな箱のことらしかった。

 

今シーズンは残り2試合の終盤を迎えている。

 

今季のグッズにもはや新商品は出ないだろう。

 

来季のユニフォームも発表前だ。

 

それでも、試合の日には開けようと思わないか。

 

売上めっちゃ見込めるだろ!?

 

私は頭にいっぱい?マークを浮かべながら、警備員たちに背を向けた。

 

 

無事に小さな箱で目当てのマフラータオルを入手したが、その際にも「?」を浮かべる出来事があった。

 

マフラータオルの柄を選んでいる時のことだ。

 

お店の人は丁寧に全部の柄を広げて見せてくれた。

 

4種のタオルはどれも背番号のプリントがなかった。

 

アヤックスでのマフラータオルといえば、クラブの柄だけのものもあるが、選手の顔がプリントされたマフラータオルも定番だ。

 

背番号と顔が描かれているので、身につけている人の推しが一瞬で分かる優れものである。

 

「背番号の書いてあるやつはある?」

 

お店の人の回答はこうだった。

 

「ないよ」

 

その言い方はまるで、そういう商品が存在しないかのようだった。

 

私は帰宅して、オフィシャルサイトの通販ページを調べた。

 

なかった。

 

元からなかった。

 

アヤックスがどうやら、オランダでは大金持ちクラブであることを認識した1日だった。