【オランダの病院で働いている 22】
オランダの敷地内に野うさぎがいる自然に囲まれた病院で働く日記。
オランダ人はお世辞を言わない、ダイレクトである。
だからってそんなことを言ってもいいのか。
「今日の病欠は絶対仮病!」
昨日はカラッと晴れて夏の気配すら感じるような日差しだった。
珍しい晴天に浮かれた病院の職員及び学生はテラス席へ我先にと急いだ。
いつもは休憩中に誰かと話すヒューゴも今日は珍しく一人でテラス席に腰掛けている。またスマホでゲームでもしているのだろう。
スマホの画面が見やすいようにあえて日陰に腰掛けていたことを私は見逃さない。
昼休憩前、リーダーのイルカじゃなくてイルケが電話をかけているのが目に入った。
イルケは夢中で電話をかけているので忘れられているのだろう、そう思いお腹の空いた私は慣れた足取りで休憩に入った。勝手に。
長電話の理由は夕方のミーティングで判明した。
「今日は病欠が4人いたから、代わりにズヴェッタが残ってくれて、休みだったクリフテンが来てくれたの」
カウターが説明するとズヴェッタに視線が集まった。
「残業してくれるズヴェッタに拍手」
これはリーダーでもなんでもないサムだ。サムよ何を急に指揮をとっとんねん。
サム「俺も終わりまで残るよ」
クリフテン「お前は普通に終わりまでのシフトだろ。11:30に来たじゃねぇか」
あ、オランダにもツッコミってあるんだ。
思わず目を輝かせてクリフテンを見そうになった。
しかし彼は調子に乗るタイプなので「良いツッコミだったね」なんて決して言わない。そもそもツッコミって英語でなんて言うねん。
カウターが話を戻した。
「ところで今日めっちゃくちゃいい天気だったじゃん。天気いいから働きたくなかっただけだと思うんだよね。4人も病欠っておかしくない?」
おかしいよ。
おかしいけどそれは言わない約束じゃん。
ガチャピンに中の人なんかいないって言わない約束じゃん。オオサカさんっておっしゃるらしいじゃん。今はオオサカさんの次の人が入ってるらしいじゃん。
第一に、オランダ人は雨が降っていると病欠する。
これは前職の配達員の時に感じたことだ。
雷が聞こえ始めると「お腹が痛くて・・・」とグループチャットに体調不良が二、三人出だす。
第二に、どうやらオランダ人は素晴らしい晴天でも病欠するらしい。
滅多にない晴天に目が眩んで目先の仕事を休んでしまう。
これはこの病院の夏に高頻度で起こることらしい。配達員の時は晴天なんて働いていて気持ちいい以外の何者でもないのであまり病欠は増えなかった。
病院は室内勤務なので、日がな一日室内にいることを勿体無いと感じてしまうのかもしれない。
いずれにせよ、病欠は少年たちが多い。
大人は守る家庭や月々の保険料があるので天気如きでは休まない。保険高けぇのよオランダは。
天気によって急増する病欠、私には一切分からない感情であるがオランダあるあるだ。