オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【パン撲滅運動】
オランダのホステルに住み込みで働くという、よく分からない人生を送っている。
先週末からスペイン人が新しく住み込みメンバーに加入した。
180cm以上ある、背もお腹もそこそこ大きい彼は25歳だ。
エイントホーフェンに大学生の頃4年間住んでいたらしく、初対面の挨拶はこうだった。
「アヤックス好きなの?」
「うん。そういう貴方は?」
「PSV」
きた。
エイントホーフェンといえばビッグクラブPSVだ。
それから彼とはサッカーの話しかしなくなったが、イタリア人がバーのシフトに入っている時に、バーでこんな話になった。
スペイン「ちょっと足りなかったからパンもらお」
私たちのランチのパンが余っていたのだ。
彼はものの三日で夕飯もタダ飯(パン)にし出した。住み込み史上最速かもしれない。
度胸に感心していると
「で?パンには飽きたの?」
イタリア人と私に向けて質問だ。
私はまっすぐ彼を見つめながら「米が食いたい」と答えた。
あったかい飯が食いたいのだ。
ここのランチはいつも焼いたハード系のパンに冷めたチーズを挟むかトースターでぺしゃんこにしてパニーニにするかだ。
二択じゃなく米が食いたい。
「俺だって米が食いたいよ!」
イタリア人も応戦した。
「俺だって昼はライスがいいよ」
なんだかスペインの彼が諸悪の根源みたいになっているが、彼はただ質問しただけである。
スペイン「じゃあ今度夕飯にライスを作ろう」
諸悪の根源ではなくゴッドだった。
料理をしない私は目をキラキラさせた。
「明日は友達と約束があるから、それ以降でいい!?」
おまけに日付の指定もした。
随分図々しくなったものだ。
「オッケー。卵とトマトで和えたやつね」
いや白米でいい。