オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【味の感想大会】
オランダの大都会ユトレヒトにて働くつもりだったが、違う街のホステルにて住み込みで働いている。
私は現在ドミトリーで6人と相部屋だ。
先日、その6名のルームメイトと食卓を囲む機会があった。
メンバーはこの1週間でかなり入れ替わった。
滞在が長い順から言うと日本(もうすぐ3ヶ月)、イタリア、アイルランド、フランス、アメリカ、スペイン。そして夜勤のポルトガル人だ。
アメリカとスペインは、滞在してまだ2日しか経っていない。
その2日で、アメリカ人がキッチンに立っている回数を私は3回は目撃した。
オランダは外食するとかなり高くつくが、スーパーに行くと野菜や果物は大ボリューム(一人暮らしにはそんなにいらないとも言う)の割に格安だ。
旅好きな彼はそこら辺を心得ているのか、初日から夕飯を自炊していた。
私は初日から「ダンキンドーナツどこかな?」と考えていたので鼻から人間性が違うのである。
そんな彼の特技を見て、アイルランド少女(19)はこう誘った。
「一緒に夕飯を作ろうよ!」
というわけでその日シフトのなかったポルトガル、アイルランド、そしてバーのシフトがあったのに夕飯を作る羽目になったアメリカ人の3人で作ってくれたと言うわけだ。
実際にはアイルランド少女が米を炊き、鶏肉の炒め物を作り、ポルトガル人は横で「何このでっかいパプリカ?」と横槍を入れていただけだったが。
そういう私はオンラインレッスンがあったので、”トルティーヤの袋を開けて皿に並べる”しかしていない。小学生か。
しかし、鳴り止まないキッチンタイマーを止めた時はアイルランド少女に「明らかにポルトガル人より活躍してる」とお褒めの言葉を授かった。
アメリカ人はバーのシフト中だったので忙しかったにもかかわらず、さくっと10分でギリシャ風サラダを作ってくれた。
何がギリシャなのか聞き損ねてしまったが、等分にカットされたキュウリは手慣れた感じがして、美しかった。
「「「「いただきます」」」」
と挨拶して食べ始めたのは私だけだったが、皆の箸が動き出した。箸ももちろん、ものの例えだ。
イタリア人「この炒め物、マヨネーズかけた方が美味しい」
アイルランド少女「そういうこと言うやつ料理した人のことほんっとに考えてない」
彼女の言葉を無視して、颯爽と冷蔵庫に向かうイタリア人。
スペイン人「このサラダめっちゃスパイスの味がする。辛い。誰が作ったの?」
のびのびのグレーのパーカーを着たスペイン人が口にした。
少し顔を曇らせたアメリカ人を安心させるべく、私は「食べてないから食べてみるわ」と取り皿に盛った。
日本人「・・・普通じゃない?」
アイルランド少女「普通ってことはそんなに美味しくないってことだな」
アメリカ人「普通かよ〜!」
褒め言葉だったのに、完全に失敗してしまった。
フランス人「具、入れすぎた」
彼女のトルティーヤは、巻ききれずにガレットになっていた。
一人だけナイフとフォークでトルティーヤを巻こうとしていた。
ポルトガル人「すんごい綺麗に見えるんだけど」
同意見だった。だからフランスはずるい。知らんけど。
そういう私は、トルティーヤを一切使わず米だけで食べていた。
米があるなら、小麦粉はいらない。
触れられはしなかったが、奇異の目で見られていたことだろう。
食事ひとつとっても、性格と国民性が出た気がする楽しい夕飯だった。
さて、今夜はイタリア人がパスタを作ってくれるらしい。
彼はパスタに限らず食へのこだわりがすごいので(人の作った料理にマヨネーズを追加する諸々)期待したいところだ。