オランダワーキングホリデー情報局

オランダでのワーキングホリデー(2021-2022)の情報基地。毎年200人行っているはずなのに全員地球からログアウトしたのか、情報が少ないので立ち上げました。

【友情に感謝】

オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。

 

【なんでそんなにカインドなんだ!】

 

オランダのホステルにて住み込みで働いている。

 

さて、ここはフリーアコモデーションで清掃とバーテンダーと朝食スタッフをまかなっている。

 

聞きなれない言葉かもしれないがホステル業界ではまあまあ聞く言葉だ。

 

給料が出ない代わりに部屋や食事補助がついているのだ。

 

大阪で私の知っているホテルだと、清掃全員フリアコは聞いたことがあるが、バーも朝食もというのは初めてだ。

 

6名のフリアコで仕事をローテーションしている。

 

ローテーション、サイトにもホステルのルールブックにもそう書かれていたはずだった。

 

私は最初の1週間以外、シフトを全て清掃に割り当てられている。

 

1日5時間(週5日間)の労働時間は平等なのだが、清掃は10:30〜16:00と、日中がメインだ。

 

そのため私の趣味である美術館や動物園巡りはその日できないことになる。

 

朝食だと、13:00〜14:00に上がれるので、早起きになるが午後が自由に使える。

 

逆にバーだと、好きな時間に起きて日中を過ごし、1日の終わり(17:00〜22:00)が勤務時間だ。

 

私はどう考えても割りを食っているシフトに、すでに2か月いる。

 

先々週から、夜勤のフランス人がシフトを組むオーナーに掛け合ってくれた。

 

「りんちゃんも、他のシフトに入った方がいい」「毎日清掃はおかしいよ」

 

めちゃくちゃに優しい。

 

私は彼の高身長や髪型をいつもまばゆいと思っているが、一回も伝えたことはない。

 

最初の頃は早口で何を喋っているか分からなかったが、ようやっと半分くらい分かるようになってきた。

 

それなのに何故か優しくしてくれる。フランスだけに仏と呼びたい。

 

オーナーの最初の週が終わっての面談での意見は「バーも朝食もお客様と喋らなきゃいけないから、りんちゃんはもうちょっと喋れるようになってからね」だった。

 

もうちょっとはいつ来るのだろう?

 

私もそう思っていたがなかなか言い出せずにいた。

 

ルームメイトで今のところ一番先輩のインド人は毎週こう言ってくれる。

 

「いつでも代わるよ!朝食と」

 

しかし、私にはそれが出来ない。

 

彼は17時に他の仕事へ出発するからだ。

 

そんな彼にとって、16時までの仕事はなるべく少ない方がいいと考えている。

 

そう考えると割りを食っているというよりシフトで人助けをしている気分だった。

 

私が頑張れば大丈夫。私が頑張れば仕事が回る。私が私が私が。

 

私には他のメンバーのように学校や他の仕事もない上に、ビザを待っている状態だから動けない、住む場所もない、耐えるしかなかったのだ。

 

堤防は予期せぬ時に決壊した。

 

フランス人が交渉してくれたおかげで、その週は週2回の朝食シフトだった。

 

初めての経験だ。

 

清掃じゃないとこんなに気が晴れるのか。

 

前の週から気持ちが踊っていた。

 

しかし、カナダ人の新入りがたった数日で離れることになった。

 

オランダ語も英語も流暢に話す彼女はムードメーカーだったのだが、嵐のように去っていった。

 

清掃初日の翌日、ぎゃんぎゃん泣きながら親に電話をしているのを見てしまった。

 

持ち直すと思っていたらダメだったようだ。

 

そして次の週の彼女の穴を、私が埋めることになった。

 

そう、清掃だ。

 

いつも矢面に立って何かとオーナーに伝えてくれるフランス人の交渉も虚しく、振り出しに戻ってしまった。

 

いっそ、振り出しの方が良かった。

 

振り出しなら皆のシフトがイコールなのだから。

 

最初は納得していたけれどだんだん大きくなる不満に、ぎゅっと目をつぶって晴れた雲間を待つのか。

 

ぎゃんぎゃん泣いて電話をしたい相手もいない。

 

自分の気持ちは自分で整えたい。

 

そう思いながら、私にとって「嫌な職場」と化してしまった「私の家」に帰る時を一刻でも遅らせようと図書館で物思いに耽っている。

 

雨は止まない。