オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【遊ぶことは悪いことじゃない】
昨日の仕事は暇だった。
覚えたてでまだ慣れないchill(仕事中の休憩)を併用しながら過ごしていたところ、どうしても体が動いてしまう私(共用キッチンの掃除を始めた)に今日の清掃パートナー、普段は夜勤が多いジェイミーはこう言った。
「働き者だよね」
「そう、仕事中毒やの!だから気にしないで。」
「はい、座って」
「す、座るわ・・・。」
ジェイミーは24歳のスペイン人。
先ほど昼食を共にした際、父が71歳というなかなかの衝撃事実を告白してくれた青年だ。ちなみに母はその18歳年下らしい。
フロントのバス(筋肉大好き)はさっきまで「おかんは20歳?」と茶化していたが急に静かになった。実際にまあまあ年下だったので失礼だと感じたのだろう。
現在ホステルは男3名、女3名そして夜勤のジェイミーが住み込みで働いているが、ジェイミーの住む場所は夜勤のため個室である。
もう3ヶ月働いているので慣れたものだ、住み込みの共有キッチンにはたまにパンツ一丁で現れる。
仲間のインド人曰く「俺はそういうことしない」
どうやら男でもびっくりする習慣らしい。
彼と共に駐車場に数多転がるタバコの吸い殻を拾い終わった後、仕事終了までは15分ほどだった。
「ビリヤードやったことある?」
「ない!」
「じゃ教えてあげる」
ホステルのフロントにはビリヤード台がある。
私はありがとう、と思うと同時に「やばい」と心の中で汗をかいた。
コツを掴むのが遅いのでスポーツ全般、ゲーム全般、なんか誰かと競う系が全て苦手なのだ。
最近ではオランダで”サドルが高すぎて自転車に乗れない”という不器用事件も起こしている。
「君は、ストライプの球を落とせばいいの。僕は色のついた球ね。ここの線から上に落とさないとダメだよ。で、落とせたら後一回打つことができる。」
”Blah Blah Blah...”と続くルール説明にとりあえず見よう見まねでやってみることにした。
結果、ジェイミーは負けた。
落としたらすぐ負けになる8のピンボールを落としてしまったのだ。
後ろから張り付くように見つめる真っ黒の瞳をプレッシャーに感じたのか、「嘘だろ〜」と悔しそうな24歳。
「ビリヤードって、スペインではみんなよくやるん?」
「いや、そんなに有名じゃないかも。飲みに行ったら、たまにやる。たまに。俺もあんまりやったことないけどバーとかにある。」
素直に「めちゃくちゃ飲み歩いてる」と言えばいいのに、24歳ってかわいいなぁとお肌の曲がり角を迎えた30歳は微笑ましく思った。