オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【そうか、抜けていいんだ】
オランダのちょうどいいサイズの街のホステルにて住み込みで働いている。
私はオランダに来てからずっと、このホステルで働いている。
しかし今日が勤務最終日だ。
来蘭してちょうど三か月。
そう、最後なのだ。
理由は新しい部屋と新しい仕事が見つかりそうなので出ていく。
つまり家賃を払う形になるので住み込みで働かなくてよくなったのだ。
住み込みをやめるということは、自分の部屋ができると言うことだ。
めちゃくちゃ嬉しい。
そのはずなのに、部屋が決まったその日からそこまで嬉しかった日はない。
家賃が高いので仮の部屋、とりあえず一か月だけ契約したと言うのもあるが、そこじゃない。
ここにいるのが当たり前だと思っていた。
ここのワッツアップのグループチャットにシフトが投稿されて、確認するのが当たり前だと思っていた。
ここのルームメイトのグループチャットに「夕飯いる?」と書かれたら「いる!」と秒で返すのが当たり前だと思っていた。
明日からは返さなくていいのだ。
明日からはグループを抜けていいのだ。
グループを抜けても、オランダで生きていけるのだ。
その選択肢があるなんて未だに信じられない。
このホステル以外で、生きていけるのだろうか?
私のトンチンカンな英語とオランダ語で生きていけるのだろうか?
「ここに一年いなくていいんだよ、色んな世界を見ておいで」
親友のインド人の言葉が背中を押してくれた。
しかしまっしろで情報のない世界に足がすくむ。
何よりもう顔を合わせたら必ず挨拶してくれる仲間がいない。
また仲間を作ればいいさ、そう思えるまでしばらくかかりそうだ。