オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【オリーボレン食べる?】
オランダの都心で"もう一生この街を出たくないな"と思うほど、のほほんとした生活を送っている。
明けましておめでとうございます。
年越しの私は、友達の友達の家にお呼ばれし、初対面の同年代に囲まれてコメディーを観ていた。
その時教えてもらったのは、オランダでは年末に一年の総まとめのようなスタンダップコメディをよく放送しているのだそうだ。
二局を見比べて、少し若い方の芸人さんのチャンネルを見続けていた。
オランダの首相ほどではないが、誰にでも笑えるようにゆっくり喋っていた。
和気あいあいと7人で話したり、テレビに集中していたり。
そこで私は人生で一度は言われたかったセリフを不意に言われた。
「オリーボレン食べる?」
オリーボレン。
オランダでは年越しもしくは年明けに家族や友達と食べるお菓子である。
よく食べているはずのオランダ人にすら"油玉"と称されるほど油っこいがサータアンダギーのような大きさのそれは、生地がもちもちしていて美味しい。
いる!!
いるに決まっているではないか!!
私は11月頃からオリーボレンを食べ始めていた。
駅前などの期間限定の屋台に売っているので、以前から存在を知っていた私は好奇心を我慢できなかったのだ。
そのあまりの美味しさによく頑張った日の夕食後のデザート、もしくは夕食そのものとしてオリーボレンを度々選んでいた。
その、私がせっせと一人で買っていたオリーボレンを、オランダの友達から勧められるなんて。
私は「いる!一個だけ!砂糖付きで!」と勢いよく頼んだ後は彼のおばあちゃんの手作りであるというレーズン入りのオリーボレンを秒で食べ終えた。
いつもお店で吟味して買うものも美味しかったが、皆で囲むオリーボレンもまた別物で美味しかった。
この出来事を文章で書くと「年末は友達と過ごした」
たった一行で終わってしまう。
だけどその一行にたどり着くまで、「家に一人でいる方が気楽なんじゃないだろうか」「喋れるかな」など、行間がある。
2021年、オランダに来てからは、その行間が多かった。
何事も初めてなのに、何事も失敗したくない。
そんな私が、失敗を恐れずにいろんな場所に飛び込んだり、スルーしたり、スルーされたり。
なんせ足を使った一年だった。
結果のための行間を惜しまなかった。
その結果、年の瀬に友達とオリーボレンを囲めたことはご褒美だった。
さて、また2022年もここでオリーボレンを頂くためには何をしていこうか。