オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【ケチなのか。賢いのか。】
オランダの都心にて、嵐の前の静けさのようなのほほんとした生活を送っている。
先日、朝起きたらトイレタンクから洪水が発生していたのだが、
連絡したらオーナーは3日以内に大きなバケツを持って自らタンクのネジを調整しに来てくれた。
その後、オーナーは「トイレごと取り替えることにした」と連絡をしてきた。
この問題は、以前から度々あったことなのかもしれない。
私は、トイレの流すボタンが公共の施設では見たことないタイプだったので、いささか古い便器だなとは感じていたが、特段取り替えるほどの問題ではないと感じていた。
オーナーの気が変わった理由が先日、判明した。
工事の数日前、オーナーからワッツアップが来た。
「トイレ工事の日、一緒にキッチンのコンロも取り替えてもらうから一日かかると思う。業者の人は鍵を持っているけど、会ったらよろしくね!」
キッチンのコンロ?
私はあまり料理をしないのでオーブンか電子レンジしか使わないが、最後にコンロを使った時は何も問題なかったはずだ。
私は念の為「ひょっとして、コンロって故障してますか?」と質問した。
するとすぐに返信が来た。
「もっとエコなタッチパネル式のものに変えるんだ」
要は、ガスコンロから電気パネルにするとのことだった。
電気パネルは、前に住んでいたホステルでもお世話になっていたのでガスより使い勝手がいいことを知っている。
これはありがたい話だった。
ここで私はピンときた。
今年、オランダはよく知らんが、急にガス代料金を値上げした。
私のルームメイトのベトナム人は料理が好きで、オーブンと電子レンジをよく使う私とは対照的に、コンロを毎日使っていた。
オーナーは先月のガス料金を見て、素早く対策を打ったのだろう。
もしくは、この冬に割りを食わないように先手必勝だと考えたのだろう。
しかも、トイレの取り替えと抱き合わせにすれば安くなったのではないか。
私はこのオーナーを第一印象から”賢いな”と感じていたが、ますますそう感じた。
その第一印象とは、契約書を交わした時だ。
「こことここにサインをしてね、僕のサインはすでにデジタルで印字してあるから」
今まで賃貸契約は、紙やら印鑑で契約していたので、なんと簡単で素早いやり方なのだと感激したものだ。
デジタルにしてくれているおかげで、こちらとしてはさっとアプリで日本語翻訳にかけることが出来た。
さて、賢いオーナーのおかげで私は、猫も走るほど忙しい年の瀬に”一日トイレが使えない”というピンチに陥ったが、そういえば私の部屋は自転車で数分で図書館に着く。
お金を払うことにはなるが、目の前にある駅のトイレも利用できる。
そういったことも鑑みて、一日トイレが使えなくても大丈夫と踏んだのだろう。
賢い、とにかく賢い。
黒マスクユーザーで、香水の香りをムンムンにさせていた。
身なりだけで言えば田舎のヤンキー(ゲーセンでうまい棒の詰め合わせを取るタイプ)みたいなオーナーだったが、敏腕だと確信した一件だった。
いい家に住んでいる。