オランダワーキングホリデー情報局

オランダでのワーキングホリデー(2021-2022)の情報基地。毎年200人行っているはずなのに全員地球からログアウトしたのか、情報が少ないので立ち上げました。

【綺麗にデジャブ】

オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。

 

 

【あなたに以前お会いしました】

 

先日、家のトイレのタンクが壊れた。

 

壊れたというのは大袈裟かもしれないが、あくる朝トイレのドアを開けると床の半分が水浸しだったのだ。

 

うん、大袈裟ではなかった。洪水だった。

 

話は変わるが、この家はキッチンのシンクに食べものがつまりやすいらしく、

 

以前パイプが詰まって下の階の人に水漏れが起こり、クレームになったと聞いた。

 

これもクレームになるだろうと、ルームメイトと相談して速やかにオーナーに連絡を入れた。

 

「来週のどっかで行くわ」

 

契約はオンラインで済ませたので、オーナーには一度も会ったことはない。

 

しかし、連絡アプリの写真を見る限りバイク好きのようだった。

 

バイクと自分の写真がアイコンだったのだ。

 

横顔がキャップに隠れているので見えないが、オランダ人らしい明るい茶髪が帽子の下から覗いていた。

 

 

その日は突然やってきた。

 

「今日の19時にそっちに寄るわ〜」

 

”オーナーって私のマブダチだったっけ”

 

と思いながら「19時なら家にいるわ〜」とこちらもマブダチの返しをしておいた。

 

そういえばマブダチってなんだろう。

 

19時ちょっと前に現れたオーナーは、私より頭ひとつ背が高いひょろっとした体型だった。

 

ちょうど私は玄関と対角線上にある洗濯物を取り出していたので顔が良く見えなかった。

 

後に分かった。

 

華僑(華人)だった。

 

髪は戻したらしく、艶やかな黒色だった。

 

バイクに座っているアイコンの写真は、下からなめていたので随分背丈があるように見えた。

 

オーナーの、これからデートじゃないとおかしいくらいプンプンに漂う香水を鼻の奥に感じながら、あることを思い出していた。

 

以前、名古屋のシェアハウスに住んでいた時のことである。

 

あの彼にも、玄関先で会った時に「あ、華僑ね」と感じたのだった。

 

その日私は、イギリス人♀のルームメイトから「今日はスイス人の友達と一緒に鍋するんだけど一緒にどう?」と誘われていた。

 

スイス人、生まれてこの方お会いしたことがない。

 

もちろん私は首を縦に振った。

 

スイスの知識って、水曜どうでしょうしかソースがないけど大丈夫だろうか。

 

わくわくしながらその時を待っていた。

 

そうしてあの日、玄関先で、華僑と対面したのだ。

 

玄関を開けた時私は一瞬でも「そうきたか」という顔をしなかっただろうか。

 

していたはずだ。

 

だって思ってしまったのだから。

 

私は今、とても失礼なことを書いている。

 

だけど感じたことに嘘はつきたくない。

 

オランダ人だと聞いていてマックスフェルスタッペンのような人が出てくるか。

 

スイス人だと聞いていてクララのような人が出てくるか。

 

私はこの華僑の多さに文句を言いたいのではない。

 

”〜人(じん)”という言葉が嫌いなのだ。

 

国籍という意味のはずなのに、その国をぎゅっと凝縮したイメージが出てくる言葉だからだ。

 

オランダ人だからってきらきらの金髪ばかり想像してもらっちゃ大変遺憾である。

 

だからといって”スイス国籍の”と前置きするとなんだか堅苦しい

 

読みにくい文章になるので好きではない。

 

まだ正解が見つからないけれど、”〜人”は便利でつい使ってしまいがちな言葉だ。

 

いつかは放り出したい、もっとしっくりくる表現を探し当てたい。