オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【BBA完成】
オランダの都市部に住みながら毎日「今日は人が少ないな」と感じている。
そもそも大阪に人が多すぎたと、気づくまでまだしばらくかかりそうだ。
私にはここで見つけたお気に入りのレギンスがある。
フリース素材で出来ており、足にぴったりとフィットしてくれるので自転車も漕ぎやすいしウォーキングもしやすい。
その上、足の部分が緩やかなゴム製なので足を通す時につっかえなくて履き心地がいい。
かくいう私はホステルで働いていたときに階段を踏み外してから、右足首をぐいと後ろに曲げるとうっすら痛い。
サポーターを買うほどでもないし、朝の日課のストレッチは難なく行えるので心配は無用だ。
そんな訳あり物件の足首にも優しいのだ。
私は気にいると同じメーカーのものばかり買い続ける。
もう一着欲しくなったので、そのレギンスも確か色違いがあったはずだと店に向かった。
記憶ではブラック、グレー、ヒョウ柄があった。
お店にはブラック、ヒョウ柄だけ陳列してあった。
グレーはどうやら夢の中で見た色らしい。
ブラックは今持っているものと同じ色なので、つまらない。
選択肢はヒョウ柄のみとなる。
灰色がかったヒョウ柄を見て思った。
ヒョウ柄とは、大阪のおばちゃんにとって茶化されがちなアイコン的服装なのだ。
拙者、大阪出身。
淀川を隔てた高槻、茨木など土地の高い方ではなく淀川の下。
お求めやすい値段の多い寝屋川門真方面出身だ。
祖父はお求めやすい土地より更にお求めやすくてディープ大阪で名を馳せる東成区出身だ。
正月の恒例行事は、親戚一同で行う賭け麻雀だったそうだ(おもちゃのお金を賭けていたそうです)
ヒョウ柄を買ったら、もう戻れない気がする。
せっかくオランダにまで、自分の趣味やら夢だけを追いかけて脇目も振らずやってきたのに。
「どこに行こうとお前は、ヒョウ柄を着る運命なのだ!」
ヒョウ柄が語りかけてくる。
幻聴に間違いないので早く家に帰って休んだほうがいいだろう。
買った。
どうしても同じ色を買うのは抵抗があるので、0.0001パーセント抵抗の薄いヒョウ柄を買った。
あくる日履いてみると、「夜中近所のセブンにジャンプと肉まんだけ買いに行く人」のコーディネートが出来上がっていた。
こういう格好の人を私は、深夜のドンキホーテでも何回か見たことがある。
奴らは昼に現れない。夜に現れる。
でも、暖かいからええじゃないか。
安かったからええじゃないか。
賞味期限1週間前だけど見た目大丈夫だからええじゃないか。
登ってはいけない"大阪人の大人の階段"を登ってしまった。
段差に「ええじゃないか」と書いてある。