オランダに住んでいる人(31歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【もしくはズッコケ三人組】
オランダの住宅街から、誰かが一方通行の道の真ん中に車を停めたままどこかに行ってしまったらしく、けたたましいクラクションを3分間聴き続けた私がお送りする。
先日、風邪を引いてしまった。
原因に心当たりはある。
その日、いつもより枕の上の方に頭を寝かせてしまったが、お尻を使ってずり下がるのが面倒だったのでそのまま寝てしまった。
掛け布団は胸の上あたりにあった。
いつもは肩までかけるのでかなり下だ。
夜中、目が覚めるとその掛け布団すら蹴っ飛ばしていた。
寒くて起きたのだ。
翌朝から鼻水が絶え間なく発生し、鼻声になってしまった。
私は今ユトレヒトの郊外に住んでいるのだが、家には同居人が一人いる。
同居人は風邪っぴきの私に夕飯を作りたいと申し出てくれた。
「夕飯はタンドリーチキンだけど、君も食べる?」
私「風邪だからおかゆとか胃に優しいものが食べたいのだが」
何故今日に限ってそんな胃で大暴れしそうなメニューなのだ、と思ったが、同居人は買い物を週一回にまとめ献立もその買い物の時に既に決めているタイプだ。
その日も体調ステータス”元気!”で食べたい献立に決まっていたのだろう。
本当はたまご粥が食べたかったが、そもそもここにはねっとり炊き上がりそうな米がない。
そもそも作ってくれるに越したことはないので「食べる」とだけ返事した。
風邪を引いて3日目、それは起きた。
同居人が仕事から帰ってきた。
反対に私はその日、しんどいので仕事を休んでいた。
「りんちゃんが風邪を引いて元気がないから、元気が出るものを買ってきたよ!」
手にはきらきらと光るチョコレートまみれのドーナツが載っていた。
4個入りだ。
何故だ。
何故、胃に優しいものを買ってこない。
なんだその甘くて美味しそうだが、今は食べたくない物体は。
と言いたかったが、声を出すとしんどいのでできるだけ喋りたくない。
聞けば、同居人は風邪など年1で引くか引かないからしかった。
ひょっとすると風邪とは、同居人にとって年に1回学校を休んで好きなものを好きなだけ食べられる日という認識なのかもしれない。
彼が日本にいたなら張り切って朝から”ざわざわ森のがんこちゃん”を観ていたことだろう。
「健康に産んでくれた親に感謝しなよ」と言いたかったが、声を出すとしんどいので以下略。
風邪を引いて4日目、今日が風邪最終日の気がしているので、彼の”元気玉”ドーナツは食後に頂く予定だ。