オランダに住んでいる人(31歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【ケツデカ星人】
オランダの片隅にて、「今日も曇っているな」と毎朝曇天をうっとり見つめる日々を送っている。
先日、仕事である配達中に接触事故を起こした。
今日はその顛末を書こう。
その道は大通りの裏側に位置し、脇に建つ家家の路駐のせいで道が狭い。
だからか車通りが少なく、街の中心部から駅前までスムーズに出られる道だった。
私がよく服のリサイクルボックスに古着を持って行く際に通る道だった。
オランダではゴミ出しは曜日に関わらずいつでもしてよく、私はよくそのリサイクルボックスを利用していた。
家の近くにリサイクルボックスがないため、片道8分のここまでよく来るのだ。
今回はゴミ出しではなく、仕事でその道を通っていた。
前日の大雨と打って変わって晴れ渡っていた。
T字路、背の高い生垣の後ろから少年のチャリが突っ込んできた。
「あ」
と思った時にはもう避けられる距離ではなく、彼は私の前輪に突入してきた。
漕ぎ出しだったのでスピードは15kmも出ていなかったように思うが、後ろに跳ね飛んで思いっきり尻餅をついた。
少年「大丈夫!?」
おばさんの私とは違い、少年はスッと立ち上がり聞いてきた。
「だう・・・」
日頃、何回も左右を確認する慎重派の私は、自分が事故を起こしてしまったことに驚いて声が出なかった。
「動けるから大丈夫だと思う」
「あと今中身空っぽだったからラッキーだと思うわ」
私は地面に置いた配達バッグを見せた。
次のレストランに向かう道中だったため、中身は空っぽだ。
「食べ物より自分の心配をして!」
きゅん
物語なら、恋の始まりの瞬間かもしれない。
だがここはリアルライフ(漢字表記:現実世界)で、小さな田舎町の路上だ。
おまけに私は物語の登場人物にふさわしくない、漫画ならジャイアンしか着ないであろう目に悪いオレンジ色のシャツを着ている。
完全に何も始まらない。
「怪我はない!?」
「本当にどこにも怪我はない!?」
少年は少し興奮しているのか、何回も確認してくれた。
私はかっこ悪いので「ケツが痛いわ」とは言えず大丈夫大丈夫、とその場を後にした。
後に、彼の放った一言に首を傾げることになる。
私が前回転んだのは、雪の降った次の日だと説明した時のことだ。
私「雪の日よりマシだわ」
彼「僕、人とぶつかるの3回目なんだよね」
じゃあもっと気をつけんかい!
人のことを言えた義理ではないが、あの少年のおそらく20代前半という若さで3回は多いと感じた。
いや、オランダなので”1人3回/年”は接触事故を起こすのかもしれない。
それでも私は言いたい。
じゃあもっともっと気をつけんかい!