オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【タイミングが悪い】
オランダの住宅街にて、家から桜の木々が見えるので毎日ほっこりしている。
私は気分屋である。
例えば今日は、アムステルダムの写真美術館に行こうと思っていたが、美術館の開館時間を調べた後に
「明日はきっと一仕事終えた後、コーヒーが飲みたくなるだろうな」と夢想した。
最終的に今日は、近所のカフェに足を運ぶことにした。
それもまだ、午前中の段階で2ヶ所のカフェで迷っている。
午後になれば、バーガーキングでチキンバーガーを貪っている可能性もなきにしもあらずだ。
気分屋に優柔不断がほんの少しトッピングされている。
そういえば前回もアムステルダムの博物館に行こうとして、ハールレムの猫カフェに行っていたことがある。
目的地も目的も何もかもがすり替わってしまっている。
だけど、この急激な変更についてこれるのは30年の経験から私だけだと知っているので、友人と連れ添う時は発動しないように心がけている。
その分、反動で一人の休日の予定がくるくる変わっているのかもしれない。
この気分は、食べ物にも影響している。
「今日はいけるのでは」と、今日がなんでもない日に苦手なものにチャレンジしがちなのだ。
狩猟時代に生きていたならば、食べられないキノコを「ちょっとだけやったらいけるんちゃうん」と口にして泡を噴いて倒れていたであろう
現代に生まれてよかった。
あの日はまさに、チャレンジの日だった。
スーパーにて。
普段なら選ばないラズベリーのヨーグルトだが、いつものイチゴよりそちらを手に取った。
えてして、私の冷蔵庫にはラズベリーの1kgのヨーグルトが入っている。
チャレンジにしては1kgは確かに無茶だった。
幸運なことに、破天荒な私の予想通りそのヨーグルトは美味しかったのだ。
問題はそこではない。
私の冷蔵庫をちらりと見た友人が私をラズベリー好きと勘違いしたのだ。
「ラズベリー買ってきたよ」
次の週は手土産に、生のラズベリーをくれた。
あまり好きではない。
砂糖にまみれたヨーグルトだから食べられたのだ。
あの口の中に残るつぶつぶ感が苦手だ。
「ああ、うん、ありがとう」
いつ「実はそんなに好きじゃない」と言おうか。