オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【こうやって呆気なく人は死ぬのかもしれない】
オランダの住宅街にて、平日の夜中に爆竹を鳴らすガキ共を微笑ましく、しかしほんのり殺意を抱いて見守っている。
先日、友人の家で寿司をつまんでいた。
友人とつまんでいたわけではなく、友人の帰宅を待ちながらのんびり一人でテレビを見ながらつまんでいた。
その寿司はコンビニで買ったもので、中には箸も醤油もわさびもついている優秀なものもあるが、今回のものは醤油すらついていなかった。
すっかり自分の家のように入り浸っているので、友人の家に醤油があったら嬉しいなとキッチンに向かう。
そこには開封済みの醤油があった。
”寿司醤油”
見るからにこの場面に打ってつけてである。
私は小皿を取り出しちょいちょいっと醤油を出した。
リビングに戻り、私のサイズではないソファにどっぷりと腰掛けた。
一番好きなネタであるサーモンに醤油をつけて食べ続けていると、唇がピリピリしてきた。
醤油を食べているとたまにあることだが、今回のはピリピリというより、ジリジリだった。
嫌な予感がした。
心当たりはあった。
醤油の入れ物には”賞味期限:2015年6月”と書かれていたのだ。
ダメだったか。
6年前の醤油はダメだったか。
当たり前だろう。
そんなことを諸君は思うかもしれない、しかし、寿司に醤油をかけずに君は食べられるだろうか?
目の前には賞味期限切れの醤油がある。
それも、瓶に半分以上残っている。
おそらく9割以上の人がかけてしまうと予想している。
寿司と醤油はセットなのだ。賞味期限も、運命も彼らを切り離せない。
もし崖から醤油が落ちそうになっていたら、寿司は力の限り彼を崖の上から一粒の頼りない米粒で支え続けるだろう。
1時間後、右下腹部が悲鳴を上げていた。
その夜はうなされながら寝込んだ。
もう2度と賞味期限切れの調味料は食べない。