オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【文化の違いは胃の中身】
私のホステルでは、朝食、清掃、そしてフロントが一堂に昼食を食べる習慣がある。
忙しい時間なんて働く場所によって違うのは当たり前だが、何故か一堂に会する。
朝食スタッフが昼食の下準備をする。
といっても、冷蔵庫から以下のものを取り出すだけである。
サラミ、ハム、チーズ、バター、トマト、きゅうり、ホモ(パンに塗るバターとシーチキンが混ざったような味のスプレッド。私はあまり好きではない)。
そして、常温の倉庫から以下のものを取り出すだけである。
ピーナッツバター、パン、塩胡椒、カラースプレー(パンにかける甘い砂糖のようなの)。
これらをテーブルの上に並べ、さあ好きなものを食べましょうというのが我がホステルのランチだ。
私は初日に思ってしまった。
「おにぎりはどこだろう。」
この国のどこに1、2、3の手順で開ければ完成するおにぎりが売っているのだろう。
後に知るのだが、時を同じくして、コロンビアからの学生も同じことも考えていたらしい。
「米はどこだろう。」
コロンビアの典型的なランチ、もしくはディナーにも米が必須で出てくるそうだ。
つまり、コロンビアと日本では”あたたかい”お米を中心に食事が進む。
ここオランダでは、パサパs失礼、冷たいパンを中心に食事が進む。
「8月下旬で、日本の10月くらい寒いんだからせめてあったかいもの食わせろや!」と、オランダ語で言いたい。
今のところ”Ik ben blij!"(私は嬉しい!)しか感情表現を知らない。
どうして言語の教科書にはポジティブな言葉しか載っていないのだろう。
ポジティブな人間が筆者なのだろうか?
私はいつだって、簡単で汚い言葉から覚えていくというのに。
しかし、働き出した当初は「パサパサのパンにうんざりしている」と言い出せなかった。
米中心の食事を送っていたのは、この中で自分一人では?と勘違いしていたからである。
それがある日を境に変わった。
「私、もうパン嫌やねん・・・。」
私の蚊の鳴くような声にコロンビアの彼女は言った。
「分かる!!!」
いつだって愚痴は、他人との距離を縮める。
だから教科書にも「クソが!」のオランダ語などを載せるべきなのだ。