オランダワーキングホリデー情報局

オランダでのワーキングホリデー(2021-2022)の情報基地。毎年200人行っているはずなのに全員地球からログアウトしたのか、情報が少ないので立ち上げました。最近はオランダの病院で働くブログ。

【30歳で無職になったからヨーロッパに住むことにした。】

オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。

 

 

 

【あいつトイレでも話してたぞ!】

 

 

私の勤めるホテルは、朝食・清掃・バーテンダー・夜勤は住み込みで働くことができる。

 

この好待遇にさまざまな国から大体18〜40歳の人々が集まってくる。

 

住み込みで働いている同僚は私を含めて6名だ。

 

ワーキングホリデー、ビザのいらないぎりぎりまでの滞在、そしてパートの掛け持ちをしている人たちなどが多い。

 

「40歳にもなって、フリーターまがい?モテなさそう。」

 

働き始める前の私のイメージはそうだったが、実際には母国に彼氏や彼女がいる人が多い。

 

そんな仲間の一人、Aちゃんは19歳で、スペインから来た若者だ。

 

ファッションに興味があり、清掃の仕事後は黒でまとめたシックな装いで街に繰り出す。

 

ビビッドな赤色のジャケットを着ている時もある。

 

毎日パタゴニアのパーカーを着てロビーをうろうろしている私とは大いに異なるセンスの持ち主だ。

服を褒めると、「今日は赤の気分なの!」輝かしい笑顔をと共に教えてくれる。

 

そんな彼女は、スペインに彼氏がいる。

 

清掃勤務初日、彼女は彼氏とビデオ通話をしながら集合場所であるロビーに現れた。

 

仕事が始まってからじゃなく、始まる前から電話しており、イヤーポッズはこういう人のために生まれたんだと理解した。

 

清掃リーダー「じゃ、まずは8号室、次に15号室を片付けよう。昨日水回りは教えたから二人でできるよね?」

 

私は仕事を覚えるのが早い、と思われるのが好きなタイプである。

本当は全然早くない。

寝る前に書いたメモを編集して、こっそりベッドの中で復唱している。努力家と呼んでいただいて差し支えない。

そして、こういうとき、向こうが思っている以上に爆速で仕事を終わらせるのが好きだ。

 

Aちゃんと共に8号室に入ると、彼女は彼氏とのビデオ通話を止めてこう言った。

 

「で、何すればいいんだっけ?」

 

彼女は私より4日前に入った少しだけ先輩である。

 

私「8号室、その後に15号室みたいだよ。」

 

「あ、そうなんだ。」

 

彼女は再びビデオ通話に戻った、スペイン語でまくし立てながら。

 

といってもスペイン語を理解しない私にとってはまくし立てているように感じるだけで、実際はあまいあまい愛の言葉を交わしていたに違いない。朝の10時半から。

 

彼氏はこちらの見知らぬ東洋人にも姿が見えていることを知らないのか、グレーのソファに腰掛けて、上裸だった。

 

この清掃リーダーは数日前彼女とシフトに入った時、

”45分前に掃除してた部屋から一歩も動いていなかった”という不可思議な現象に遭遇したらしい。

ほんとうにあった怖い話を、そのまま話したとしか思えないくらい恐ろしい。

 

その現象に何と名前をつけたらいいかわからないが、私はこう呼びたい。

 

”19歳だもの。”

 

知らない国に来て、数ヶ月働くことを決意した彼女には、心の支えとなる顔の見える彼氏が必要なのだ。

 

ある時、同僚と飲みに繰り出した際、Aちゃんの話になった。

 

Cさん「彼女、トイレでも彼氏と喋ってたよ!何を聞かせてたんだろうね!?」

 

心の支えが必要なティーンエイジャーは、ただの変態だったのかもしれない。