【オランダの病院で働いている 42】
オランダの緊急搬送がなさそうな落ち着いた病院で働く日記。
新入りが来た。
ガーナ出身の36歳、ジュニアだ。
千原の方ではない。ネイマールの方だ。
きっと父か母の名前を受けついでジュニアなので、もう一つの名前が気になるところだがまだ聞き出せていない。
先日、ジュニアと他の面々と共に休憩時間に同じテーブルに座った。
彼はオランダに住んで一年経つがオランダ語に関しては「ぼちぼち勉強しなきゃなぁ」と言っていた。まだ腰が重いらしい。
ズヴェッタ「ホテルのベッドメイクって1日どれくらい作るの?」
どうやらジュニアは他にも仕事があるようだ。
ジュニア「どれくらい・・・時間で言うと12時間くらいかな」
私は週であって欲しいと願った。
1日12時間なら違法である。多分。知らんけど。
私「私もホテルのクリーニングで働いたことあるよ。ホステルだったけど、Tilburgって田舎の。Tilburg知ってる?」
ジュニア「知らんなぁ。でもハウスキーピング部門だったんだ?」
私「言うなればハウスキーピングだったかな。だからベッドの作り方もわかるよ。とにかく引く。引く。引いてシーツを伸ばす。」
ホステルではハウスキーピングだけではなく、朝食を準備したり夜の時間はバーテンダーをやったりと、八面六臂の活躍だった。雑用を押し付けられていたのではないと思いたい。
ジュニアはなくなったショコメル(カカオの甘いドリンク)をドリンクバーに継ぎ足しに行った。
ジュニア「ヒューゴ今日さ、大きいマグカップでコーヒー飲んでなかった?ああいうマグカップどこに置いてあるの?」
ヒューゴ「コーヒー今日は飲んでないけど、マグカップなら置いてある場所があるんだ」
ジュニア「コーヒー飲んでなかったっけ?確かあの辺で」
ヒューゴ「飲んでない」
ジュニア「あれ、じゃあ昨日かな。いや、今日だよ。あの辺で見たもん」
ヒューゴ「今日は紅茶なら飲んだよ」
ジュニア「ああ、じゃあ昨日だわ。ごめん」
私「ジュニア・・・」
クリフテン「お前大丈夫か?」
ジュニア「大丈夫だよ!疲れてないよ!」
クリフテン「大丈夫じゃないやつってみんなそう言うんだよな」
私「ひどい」
ヒューゴ「クリフテンも自分のこと大丈夫って言うもんね」
クリフテン「そうそう俺みたいに言うんだよ。大丈夫大丈夫、って。信用できないよな?」
ジュニア「やば。面白すぎる」
ヒューゴの辛辣な返しにジュニアと私は笑い転げた。
ジュニアの高い笑い声が休憩室に響いた。
ジュニアにはダブルワークで働きすぎないでほしいところだ。