オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【メイク道具は気分が上がる】
オランダの都市部にて、部屋の備え付けの机が折り畳み式で気に入っているが、”そういえば一回も折り畳んだことなくね?”と気付いた私がお送りする。
私は何かをもの買う時、すごく時間がかかる。
先日、少し高級なコスメショップに足を運んだ時だ。
私は入店するまで、自分で商品を選べるお店だと思っていた。
しかし、DiorやBobbyBrownの並ぶ店内は、デパートのコスメ売り場を少し小さくしたような高級な品揃えだった。
ドラッグストアのようにアイライナーが細い通路にぎゅうぎゅうに押し込められていているわけではない。
床に近い鍵付きの引き出しに、ゆったりと余裕を持って商品が並んでいる。
万引き防止のために店員さんに話しかけて、その引き出しを開けてもらい、商品を手に取ってレジまで運んでもらうスタイルだ。
私はこのタイプのお店がとても苦手だ。
話しかけたら”ついでにあちらも見てはいかがですか”、”これに似た商品で今お求めやすいものがあるんです”と興味のない話が始まる。
興味のない話への相槌を習わなかったので、”早く帰ってスイッチしたい”と顔に出てしまうのだ。
しかし、今回それは起こらなかった。
苦手なお店に進んで入ってしまった私は挙動不審に「これの02番ください」もそもそと、綺麗なお姉さんに話しかけた。
お姉さんは、しっかり02番かを確認した後、商品をレジに運ぶ前に”他にもご覧になりますか?”とだけ聞いた。
「こ、これの02番が、ほ、ほしいんだな」
完全にナーバスな私を「こいつ話しかけてもわかんねぇな」と判断なさったのだろう。
それでいいのだ。
無駄なセールストークが消えた。
打てども響かないし、曖昧に頷かれるかもしれない、と思われる領域に入れたことで少し気が楽になった。
気が楽で、少し寂しいのは贅沢だろうか。