オランダワーキングホリデー情報局

オランダでのワーキングホリデー(2021-2022)の情報基地。毎年200人行っているはずなのに全員地球からログアウトしたのか、情報が少ないので立ち上げました。最近はオランダの病院で働くブログ。

【ランチは何食べてます?僕は昨日の残りですがそれはどうもオランダでは稀有なようです】

【毎日違うものを食べる稀な民族】

 

 

仕事は8時間勤務だ。

 

ランチは必ず職場で摂ることになる。

 

私は、同僚のランチに”違和感”を覚えていた。

 

その”違和感”は実は私にも抱かれているものだと後に知ることになる。

 

 

 

 

複数の同僚のランチはりんご、オレンジ、ヨーグルト、無味無臭に近いパン、チーズ、サラミだ。

 

質素。

 

ダイエットしてるん?

 

昨日食べすぎたん?

 

今月お金がピンチなん?

 

私がそのような朝食に近いランチを食べる時は以上のような症状が現れた時なのでそう思っていた。

 

そのことをパートナーに話すとこう言われた。

 

「オランダ人はランチに毎日同じものを食べる傾向にあるで。普通のことやで」

 

そうなん?

 

ゾウなん?

 

飼育下にある草食動物なん?

 

これにはたまげた。

 

というのも私はコンビニなどで新商品が出たら一目散に買いに行くタイプだったからだ。

 

あれとか最高だったよね、Xで新作のアイスをポストしてくれる方。

 

とくにミスドの新作は好物で、リリース日(実際にこう呼んでいた)の午後には必ず店に足を運んでいたほどだ。

 

リリース日は品数が豊富なのでミスドファンは必ず店に集っていたよね?そうだよね?私だけちゃうよね?火曜か水曜やよね?

 

会社の近くの定食屋も毎日違う店を開拓しに行くほどランチにはバリエーションを求めるタイプだった。

 

それは職場が渋谷という馬鹿でかい都会だったせいもあるだろう。

 

毎日場所を変えても店が次々に誕生してくる、変幻自在の街だった。

 

街のつかみどころがなくて渋谷での仕事は4ヶ月で退職した。

 

妖怪のように変化する街のせいだったと今でも思っている。

 

バリエーションに富むことは、定食屋が近くになくなったオランダでは不可能になった。

 

というわけでオランダに来てからの私はランチに昨日の残りや、やはり昨日消費しきれなかった白ごはんを持って職場に行っている。

 

昨日の残りといえばカレー、麻婆春雨、ラザニアなど。

 

何の飾りげもない昨日の残りなので多種多様だ。

 

多種多様といえど、お好み焼きを作った日には自分好みの味付けに感動して完食してしまうため、ランチにプロテインバーを持っていくこともある。

 

断っておくが、別に鍛えていない。

 

フルーツは腹が膨れないから論外で、手軽で満腹になれる何かを持って行きたいと考えた結果がプロテインバーだったのだ。

 

また、白ごはんの上にはふりかけを忘れない。

 

丸美屋ののりたま、丸美屋のしっとり鮭をメインに据えながらたまに焼肉ふりかけなどという亜種も持参する。

 

焼肉ふりかけはあまりに美味しかったので2、3日でなくなってしまった。誰か送ってくれ。

 

 

私のランチを見たナイジェリア人のサムから言われたことがある。

 

「りんちゃんって毎日料理するの?」

 

そりゃ、する。

 

だってお好み焼きは前述のように1日でなくなってしまうし、カレーも2日あればなくなる。ランチに持ってきてしまうからだ。

 

そもそも日持ちする用に夕飯を作っていない。

 

その日の時間と、疲れ具合を見てできる料理をしている。

 

だから本当は肉じゃがが作りたかったけど、永谷園のかに玉になった日もごまんとある。

 

しかし、そういうことをサムは言いたいのではないと判明した。

 

どうやらオランダ人は毎日凝った料理をしないらしい。

 

噂を聞きつけた我々OWH局(オランダワーキングホリデー情報局)は密林の中に20年前突如、独立国家として誕生したオランダへと現地取材に赴いた。オランダに日本からの直行便は出ていないので、まずはインドネシアでトランジットすることに---

 

オランダ人の友人に聞くと、彼は大家族だったのもあって(兄弟3人)

 

夕飯のメニューが曜日によって決まっていたそうだ。

 

月曜、カレー。

 

火曜、スタンポット(じゃがいも料理)

 

水曜、パタット(フライドポテト)

 

木曜、鶏のトマトソース煮込み

 

金曜、スパゲッティ

 

土日、配達。

 

何年も続いていたようで、彼に聞くととっくに出たはずの実家の夕飯レパートリーがすらすらと出てきたから驚いた。

 

彼の実家は毎日料理をしているが、毎週違ったものが出てくるわけではない。料理はローテーションだった。

 

毎週何か違うものを作ろうとしている私とは考えが違うようだ。

 

夕飯、オランダ人にとって新作レシピを試す場ではないらしい。

 

YouTubeのショート動画でバズっているレシピを翌日にすぐ試したくなるのは私だけなのだろうか。

 

 

 

先日、暇な時間に口から涎と脳髄を垂らしながらXを読んでいた時のことだ。

 

「日本人が毎日違うものを食べたい、または食べなければという強迫観念は給食から来ている気がする」

 

たしかこんなような投稿だった。

 

ごめん根性ないから元ポスト見つかんかった。

 

そこで私はいよいよ気付いた。

 

毎日違うものを食べたくて、毎日料理しようとする民族が少数派かもしれないと。

 

だってオランダ給食ないやん。

 

以前、子供を持つ友人から教えてもらったオランダの学生のランチ地上について思い出した。ランチ事情な。地上で何すんねん。

 

給食がないので各家庭がランチを用意する。

 

主なランチは薄切りパンにチーズ、サラミ、ハム。

 

もしくはチョコレートスプレッド、苺ジャム。

 

甘いものが好きな子は更に甘いヌテラというチョコレートペーストをパンに塗りたくる。

 

そして健康のためにバナナなどのフルーツ。

 

以上。

 

以上!?

 

あったかいご飯はどこ!?

 

そういえば2016年に観た”パターソン”という映画では、主人公パターソンの平凡だが愛すべきゆるやかな毎日が描かれていた。

 

そこに出てくるランチボックスが印象的だったのだ。

 

一見工具箱に見えるそれに、というかどう考えても工具箱にパターソンはサンドイッチを詰めて出勤していた。

 

そのボサボサで、温かくなさそうで、美味しくなさそうなサンドイッチをあくる日もあくる日も彼は食べ続けていた。

 

まるで何らかの懲罰を受けているかのように。

 

あの工具箱ランチボックスとサンドイッチを、私は単調な毎日の繰り返しの象徴として感じていたが、ひょっとして違うのではないか。

 

何の罰ゲームでもなかったのではないか。

 

パターソンはアメリカ制作の映画だった。

 

アメリカ人も毎日同じランチを食い続けているのではないか。

 

オランダ人もそうだから。

 

それが普通のことだから。

 

待てよ、まさか。

 

毎日違うもの食べたいっていう考えが稀なのでは。

 

というわけで私はやっと私こそが”違和感”だったのだと気付いた。

 

毎日違うものを食べているJapans(日本人)

 

人は環境によって変わる。

 

最近の私はランチにフルーツを持参するようになった。

 

トマト、イチゴ、オレンジ、みかん。

 

パサパサのパンとバナナは嫌いなので一生持っていくことはないだろうが、2日連続イチゴでもいい気がしている。

 

・・・いや、嘘をつくところだった。まだ許せない。そんな味への怠惰は許さない。

 

オレンジの次の日は甘いトマトがいい。

 

温かいランチで無くなってきたことは確かだ。

 

あなたの今日のランチは何ですか?