【オランダの病院で働いている 63】
先日、いつものように昼時だけレジに入った。
私は昼だけヘルプをする要員なので正直食堂の全てのメニューを把握しているわけではない。
そんな弱みが出た日だった。
チーズ揚げ、ヨーグルトドリンク、パン、チーズ。
そんな会計だったと思う。
たった4点で10ユーロくらいになったのでお客さんの学生さんが言ったのだ。
「これだけで10ユーロもするの!?レシートちょうだい」
そう言われたら私は押し間違えたかな、と一瞬心臓がドキッとした。
しかしこれは最も簡単な組み合わせの会計。
うん、間違えていない。
マジなのだ。
私は決済画面を彼女に見せた。
ヨーグルトドリンク(2.25ユーロ:量が少ない割に高い)
チーズ揚げ(2.25ユーロ:揚げ物の中で2番目に高い)
パン(1ユーロ弱)
チーズ(1ユーロ弱)
この食堂は学食だから安いというわけではなく、ごく普通の値段だ。
だから家から持ってきた食材にプラスアルファするために目玉焼きだけ購入したりスープだけ購入するお客さんが多い。
4つで10ユーロなんてクロケット(2.5ユーロ)がないから安い方とも言える。
私はPOSレジのタッチパネル画面をくるりと彼女の方に向けた。
「ええと、これがヨーグルトドリンクでこれがチーズ揚げね」
するとレジの近くで補充作業をしていた本来のレジ係が応戦してくれた。
「そんなに買ったら10ユーロするわよ!」
すげぇ。
お客様に対する言葉じゃねぇ。
すると学生さんは「そうなんだ・・・」といささか不服そうではあったが食い下がった。
私は親切丁寧に彼女に一個一個値段を見せようとしていたが、そんなことしていたら長蛇の列になってしまう。
私「ありがとう」
レジ係「いいってことよ。結構言われるよね、これだけなのにこんなにするの!?って」
「言われるね」
「あんたら医者なんだから文句言わず払えよって思うよね。給料高いじゃん?」
あまりにあっけらかんとしていて爆笑してしまった。
それは考えたことはなかったが、確かにメインの客層は医学生か医者である。
「そんだけ買ったら10ユーロするわよ」
「いい給料もらってんだから払えよ」
というオランダ語を覚えようと思った。
背負い投げされるかもしれないので受け身も覚えておこうと考えている。