【オランダの病院で働いている 60】
最近の職場はEURO 2024の話題で持ちきりである。
休憩になれば少年たちは「イングランドが〜」「スイスが〜」「オランダは〜」とサッカーの話題が豊富だ。
私はそこに入れるくらいの情熱を持ち合わせているが、シャイなので遠くでほくそ笑みながら会話を聞き流している。
すると突然スッと入ってきた言葉があった。
「でオランダが今晩負けるのさ」
あ?
なんつった?
と口に出していつの間にか言っていた。加齢は恐ろしい。
「オランダが負けるの」
「負けねーよ」
ご存知とは思うが私がオランダに住みたいと思ったきっかけはサッカーである。
その大切なオランダ代表を貶されては困る。
モロッコ人だと思っていた新入りの少年はどうやらトルコ人だったらしい。
そりゃ強気になるか。ベスト8だもんな。
その晩、オランダ代表は無事にトルコに勝利した。1-2と接戦だった。
次の日、例のトルコ少年に「昨日何かが起こったね」と声をかけると、
「何かって何。あ。サッカーのこと?」とポカンとした顔で言われた。
なんやお前、また喧嘩売るつもりやったらいつでも買うで。