【オランダの病院で働く日記 105】
先日、皆で一つのテーブルを囲んで休憩していた際に「そういえばあんた(タリック)って何歳だっけ?」という話になった。
話の中心になったタリックはヒゲをヤンキー烈風隊の主人公のモヒカンくらい伸ばしており、髪の量よりヒゲの量が多いように見える。
スリナム出身の・・・歳だ。
私「25くらいちゃうかったっけ?」
クリフテン「俺もそのくらいだと思ってた」
エリフ「23くらいかな?」
誰か「そんなに若くないだろ」
さて正解発表といこうか。
タリック「20だよ」
ズウェッタ「え?」
私「うそ!(日本語)」
私「え?ほんとに?(日本語)」
私「うそでしょ?(日本語)」
一瞬英語もオランダ語も忘れてしまった。
絵文字の🤯こういう表情になってしまった。
ひょっとしたら脳がちょっとだけ世界にこんにちはしてしまっていたかもしれない。
レクター博士かい。
私「ごめん、まじで25くらいかと思ってた。だってタリックめちゃめちゃ仕事できるもん」
まるで25歳以下は仕事ができないみたいな物言いになってしまったが、確かにそう感じていたのだ。
これは同僚のファレーリアの持論であるが、
『少年たちは25歳くらいを境に仕事ができるようになる。やっと。それまではクソガキ』------ファレーリア(2024年10月/キッチンの掃除中)
とのことだった。
タリック「いや俺も、若く見られたいよりは年老いて見られたいんだよね」
クリフテン「なんで?」
タリック「女性って若く見られた方が得だと思うの。でも男性は年上に見られた方が、なんというか、仕事の上では得な気がするんだよね。だからヒゲとか伸ばしてる」
私は彼の主張が少しばかり分かってしまったことが悲しかった。
確かにそうだ。
現に私はもし彼がヒゲなしの、剥きたて卵のようなツルツルお肌の20歳の見た目だったなら、仕事中に時たま彼を観察しては
「やっぱり20前半の子って仕事が雑よね。見てこの水たまり!」
と、キッチンの床の拭き残された水を指摘していたかもしれない。
それはキッチンの床が1箇所だけたゆんでいるからであって、タリックのせいではないのに。
人は見た目が9割。
それを彼なりに解釈した結果、ヒゲもじゃのタリック。
人は見た目が9割だけれども、仕事に関しては見た目に引っ張られないように受け取らねばとじじいみたいなことを考えた。