【オランダの病院で働く日記 100】
記念すべき100回目をしょうもない記事で消費しようと思う。
俺にとってはしょうもないが、オマールにとっては一生寝る前にふと思い出して恥ずかしくなる出来事になったのでは、と予想している。
ランチタイムは忙しいのだが、従業員を大切にする我が食堂では10分の小休憩を好きなタイミングで取れる。
この小休憩を発案したのは絶対に喫煙者だと思うのだが、非喫煙者の私も恩恵に授かっている。
私がいつものように搬入口の隅っこでスマホをいじりながら猫背で丸まっていると、絵に描いたような
\(ドンガラガッシャーン)/
という音が聞こえた。
は?
\(ウォーッ)/
くらいでかいフォントで表示したくなる音だった。
はじめ人間ゴンだったかもしれない。どっちでもいいか。
何の話をしていたんだっけ。
あぁそうか、食器か。
食器が大量に割れた音がしたので、慌てて音のした通路に出てみた。
するとアニヲタボクサーのオマールが、食器が大量に入ったカートを螺旋階段の上部にぶつけていた。
螺旋階段の下を通ろうとすると、カートの高さが高くて引っかかる。
初日に「ここを通ろうとすると引っかかるから近くを通らないでね、気をつけてね」と言われるポイントだ。
彼は入って1ヶ月も経っていないので知らなかったか、知っていても最初のミスだったのだろう。
焦った表情のオマールに「オマール?大丈夫?」と声をかけた。
返事は「何が?」だった。
めっちゃ焦ってる人の返事やん。
祭囃子くらい
\(ドンガラガッシャーン)/
って聞こえましたけども。
私以外に同期のタリック、リーダーのクリフテン、ミゲルが様子を見にきていた。
タリックは私と同じように「オマール?何してるの?」と半笑いで歩いてきた。
オマール「いや、別に?」
最初は私(女性)に言われて恥ずかしいのかな、と思ったのだが同性に対しても強気だった。
絶対に非を認めないオマール。
まぁまだ19歳だし、開き直ってとぼけられる年齢じゃないかぁ。