オランダに住んでいる人(31歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【ぶろろろろろ】
オランダの住宅街にて、暑いのか寒いのかよく分からん気候を1日で体験する”北風と太陽”の日々を送っている。
先日、一番恐れていたことを目撃した。
その日は家でのんびりしていた。
ナショナルジオグラフィックチャンネルを観たり、ポッドキャストでトムブラウンのラジオを聴いたりが私にとっての休息だ。
キッチンから紅茶を持ってくる途中、リビングの大きな窓に人だかりが見えた。
それは信号のない交差点に集まっていた。
あそこは車が飛ばすし、自転車も誰もいないと思ってスピードを出す場所だった。
事故が起きそうだったので極力低速で通過している場所で、私が常に恐れていることが目の前で起こったらしいのだ。
道に横たわる長身の人がそこにはいた。
真っ黒いジーンズを着たその人は救急車が来るまで一歩も動かなかった。
救急車が来た後も一歩も動かなかった。
”なんで早く行かないのか?”としばし眺めていると、マンションの上をブロロロ、と空気を震わせる音が通過した。
医療用ヘリの到着だった。
私はヘリコプターが目の前で着陸するのを初めて目撃した。
あんなに垂直に降りていくものなのか。
そして普通に道端に着陸できるんだ、そうかここは大阪とは違い道が広いものな、と感心してしまった。
どうにか黒いジーンズの人が助かりますように、と急いで離陸するヘリを見送った。
30人はいたであろう人混みは徐々に閑散としていった。
数時間後のニュースでこの街には、轢き逃げをするどこの風上にも置けない奴がいることを知った。
最近仕事にも慣れてきた。
ここは信号ギリギリで渡っても大丈夫、ここは飛ばしても大丈夫と分別する道も出来てきたところだ。
仕事である配達中に私はよくスピードを出したままカーブを曲がることがよくある。
道のど真ん中を突っ走っていて、対向車が来た時に「あ、ここ車も通れるのか!」と驚くこともある。
なんせ他人事ではないのだ。
用心するに越したことはない、と感じた週末だった。