オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【迷いなく入る】
オランダの都市部にて自転車を手に入れ、毎日若干の尻痛を感じながらサイクリストライフをエンジョイしている。
私にはお気に入りの店がある。
南部にいた頃それはマクドナルドだったが、越してからそれは、スコーンとイングリッシュティーの美味しいカフェになった。
部屋だけでなく、行くお店も少しグレードが上がったようで嬉しい。
そのお店は支払いが現金のみなのだが、初回カードで支払おうとした時に「うちはカードやってないよ!カードなんてリッチな人達の文化!」と一蹴されたことも気に入った要因の一つだ。
西成のホルモン屋さんに入ってカードを出すくらい「何やってんの?」という行為だったのかもしれない。
使えるわけないだろ、立ち食いだぞと。
もちろんカフェは立ち食いではないが、そういったTHE 大阪の空気が懐かしかったことは確かだ。
西成のホルモン屋さんが朝4時から開店している話は後日するとして、私はお店に入る前、入ることを前もって決めてから入っていく。
どういうことかと言うと、店の前でメニューを眺めたりお店の雰囲気を観察したりしないのだ。
そういうことはお財布の中身との関係上、家でGoogleマップ氏の助けを借りて済ませてくることが多い。
また、煙が嫌いなので、店がタバコ臭いなどと書いてあればどれだけレビューが高くとも行かないと決定する。
通りに入り次の角を曲がった右手に見えてくると分かっていれば、角を曲がるや否や辺りを見渡すこともなく初のお店でも勢いよくドアを開けることが多い。
どういうことが起こるかといえば、店の前に人影がチラつくのは一瞬もしくは0.1秒なので
「お客だから当たり前なんだけど、マジで唐突に来た」
と目が丸くなった店員さんに遭遇することが多い。
そのお気に入りのカフェでの出来事だ。
2回目にしては私は、また迷いなく戸を開けてしまったのだろう。
店の奥でキョトンとした店員さんと目が合った。
「あぁ、マスクは持ってますよ」
私はポケットからマスクを取り出した。
「それは全然いいの。」
全然いいのかい。
「じゃあQRコードいる?」
「あーそれね..うん!いる!」
心底いらなさそうだったが、ちゃんとチェックしてくれた。
やっぱり私が急of the 急に店に入ってきたことに驚いていただけなのだろう。
「一人?二人?」
もちろんおひとり様である。
「じゃあこちらの席にどうぞ。今は忙しくない時間だから、広い席ね!」
そう言って二人では狭いが、一人ではゆったり腰掛けられるテーブル席に通してくれた。
QRコードのチェックを明らかにめんどくさそうにしていたことと、「マスクは任せるよ」というスタイル。
ますます好きになってしまった。
もちろんメニューも何から何まで美味しい。
まだ開拓中だが、そうに違いない。
また来よう。