オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。
【昆虫と聞いて何を思う】
オランダの都心にて人の家に厄介になりながら、ホステルとは違い近くに飲食店があまりないため、かつてないほど料理をする毎日を送っている。
今日は博物館に行った。
博物館といえば私が大好きな場所の一つだ。
映画館、カフェ、博物館。
一人で思う存分楽しめる私のパワースポットである。
今日はその博物館でドキッとしてことを書こう。
デンハーグの少し海岸側に位置する"Museon"博物館。
子供向けにオランダの戦争時代から、インドネシアの先住民の文化まで幅広く網羅している。
深くというよりは入り口として、完璧な展示だった。
説明文もそんなに難しくなく、タッチパネルやキューブ型のおもちゃを使って学べたので英語に明るくない私も大助かりだった。
さて、ここでは前述した各国の先住民の衣装を目当てに向かったのだが、意外や意外、
オランダのエネルギーはどこから来るの?
オランダで作ったチーズはどこに輸出されているの?
など、オランダに関する展示も多かった。
社会科見学にうってつけだな、ここ。
そう思いながらチーズが放物線を描いて日本へ飛んでいくプロジェクトマッピングを眺めていた。
そんな中、数年前に問題になった「スマホが普及しすぎて原材料の鉱物不足」の展示もあった。
スマホ一台にどれだけちょっとずつ色んな鉱物が使われているか、それをどの国でどんな人たちがせっせと最終的には手作業で洗い出しているか云々。
手で洗ってるんだ、知らなかった。
と、脳天に直撃を受けた。
すみっこに、すすけた作業着とヘルメットを見つけた。
これが実際の作業着なのね、と近寄るとそこには
「日本の銅山で労働させられていたオランダ人が持ち帰った服」と書いてあった。
いきなり後ろ指を刺された。
お前だ!
もちろん後ろには誰もいなかったが、
俺だ!
そう感じて背筋がひやりとした。
関連して、日本でも昔は金銀がざくざく採れていたという話が書いてあった。
金銀の価値の分からないJapansにまあまあぼったくりの値段で砂糖を交換していた東インド会社については何も記載がなかった。
胸糞が悪くなったわけではない。
ここに、私の博物館が好きな理由が詰まっていた。
国や場所で同じことを語るにしても、描かれ方が違う。
私はホーチミンのベトナム戦争証跡博物館の展示を思い出していた。
ピューリッツァー賞を撮った写真から、牢獄の再現まで所狭しと屋外から屋内まで並べられた展示の最後はこうだった。
「では、アメリカの爆撃機は何処から飛んできていたでしょうか?」
お前だ!
俺だ!
どでかく貼られた沖縄のポスターを私はまだ覚えている。
無関係から脱却できる場所、はっとできる場所、博物館。
また行こう。