オランダワーキングホリデー情報局

オランダでのワーキングホリデー(2021-2022)の情報基地。毎年200人行っているはずなのに全員地球からログアウトしたのか、情報が少ないので立ち上げました。

【太ももに手を入れる速度が違う】

オランダに住んでいる人(30歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。

 

 

【今回だけピンクの内容】

 

さて、アプリで出会った分類し難い”不思議な人”が不思議であった由縁を書こう。

 

会っていきなり散歩からのおうちデート、帰りたくないという私をなだめすかしてオランダ人の彼(プーさん)は服を着ていった。

 

私は半裸だったが、しぶしぶプーさんに従った。

 

おい、お前ら裸になっとるやないかい。

 

ここで尻軽の私からお知らせだが、ヤっていない。

 

最後までヤっていない。じゃあ何をヤったんだと言われたら書けないが、まあ察してくれとしか言えない。

 

ちなみにここでいう帰りたくないとは、”もっと一緒にいたい(はーと)”という意味ではなく借りている部屋がオランダ史上最悪なのでそのままの意味で帰りたくなかった。

 

時刻は22時過ぎ。

 

プーさん「明日、どこ行くの?」

 

「明日はホステルで会った仲のいいお客さんが、今はアムステルダムにいるっていうから会うんだ。」

 

「男?女?」

 

返事がbotなのかと思うほど早かった。

 

「女の子だけどなんで」

 

「なんでもない」

 

執着心がダダ漏れで微笑ましかった。

 

いや、本当は初対面にしては嫉妬の炎がボオボオ燃えていたので、少し怖いが4割、微笑ましいの割合が6割くらいだった。

 

微笑ましいのギリギリ勝利だ。

 

真っ暗な中、ご丁寧に駅まで車で送ってもらい、部屋に帰ったのは0時過ぎだった。

 

さて、出会い厨ならここで連絡が取れなくなるものだが、”ワッツアップで連絡を取りたいな”というと、すんなり連絡先を教えてくれた。

 

プーさんは、アイコンが初期設定のままだった。

 

その理由は後に分かる。

 

在宅で勤務しているプーさんは連絡をチェックする時間がたくさんあるのか、返事がマメだった。

 

無職の私も時間だけはたくさんあるので、返事が多くて嬉しかった。

 

そしてその日はやってきた。

 

私はある種の賭けに出た。

 

「週末空いてる?」

 

「今週は忙しい」

 

「じゃあ週末は日本の男の子とデートしてくるね」

 

「待って。日曜の夜なら空いてるかも。何時になるか分かんないけど」

 

釣れた。

 

爆釣だ。

 

実際は男の子ではなく女子大学生とデートをしていたのだが、かわいい嘘の範囲にして頂きたい。

 

当日、プーさんから連絡が来るのは、21時くらいになるだろうなと思っていたら、17時には予定が終わったと連絡が来た。

 

私のために撒いてくれたのだろうか、幸せな勘違いをしても無理はなかった。

 

「前いた駅のロータリーで待ってるね」

 

前いた!

 

そうか私達はもう会うのが2回目なんだ!

 

胸キュンワードだったので心の宝箱にしまっておいた。

 

暗闇だったので、プーさんのベンツがどれか分からず、知らない人の車の前で反復横跳びしてしまったが、無事に合流できた。

 

軽くご飯を一緒に作り食べ終え、ソファにトドのように転がりながらYouTubeを観ていた。

 

段々距離を詰めてくるプーさんの横に座りながら、私は考えていた。

 

 

私は今夜、多分すっぽんぽんになってしまうだろう。

 

そうしたらどのタイミングで、もっと一緒にいたいと言えばいいのだろう。

 

付き合うってどうするんだっけ。

 

そういえば、前回より遠慮なしに太ももの間に手を入れてくるな。

 

ひょっとしてもう遅いのか。

 

 

「今日、一緒に散歩したかった」

 

プーさんを見下ろしながら、案の定すっぽんぽんになった私はつぶやいた。

 

本音だ。

 

少し眉毛を上げて驚いたプーさんは私の髪に手を伸ばしながらこう言った。

 

「そうなの?じゃあ今度行こうね」

 

 

連絡が取れなくなったのは火曜日のことだった。

 

今日はいつまでも既読にならないな、いや送信できたことを示す2つのチェックマークすら点らないな、と感じていた。

 

震える手でGoogle大先生に”ワッツアップ ブロック 確認”と聞いてみた。

 

その全てに当てはまった。

 

心臓に直接冷たい水がドバッと流れてきた。

 

ブロックされると、アイコンが初期設定のグレーの背景になるらしい。

 

ワッツアップのアイコンが初期設定のままだったのは、連絡先を交換した後ブロックしても数日バレないようにするためだったのか。

 

手練だなと、感心してしまった。

 

「柴犬か猫を飼いたい」「でも柴ちゃんは難しいんだよね」「兄の家庭に一年に一回行くけど子供がうるさい」「3ヶ月ぶり」「前の彼女は台湾人」

 

色んなことを話してくれたが、そのどこかに一滴でも嘘があるように思えなかった。

 

むしろ、全てがハリボテだったのだろうか。

 

あの家もハリボテだったのだろうか。

 

私の今まで会ったどの人でもない”不思議な人”だった。