オランダワーキングホリデー情報局

オランダでのワーキングホリデー(2021-2022)の情報基地。毎年200人行っているはずなのに全員地球からログアウトしたのか、情報が少ないので立ち上げました。

【リアクションが得意です】

オランダに住んでいる人(31歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。

 

 

【誤解は解けた】

 

オランダの住宅街にて、屋上から急転直下でベランダを通過する鳩を眺めながら”無謀運転”と思う日々を送っている。

 

先日、友人の誕生日をお祝いした。

 

友人の家にお邪魔した際にリビングを、本人に気づかれる前に飾りつける予定だった。

 

予定と書いてしまったからには、お分かりいただけただろうか。

 

無事に、三角形のフラッグの飾り付けの途中に本人に見つかった。

 

もうちょっとキッチンいてくれると思ったのだが。

 

 

 

私はこういうものを用意する際はネタバレ防止を徹底するタイプだ。

 

しかし、思ったよりも沈むソファに足を取られたのと、一瞬で何処に置いたか忘れるテープを探すのに手間取った。

 

友人のリアクションは「ははは」と壁を見た後「ありがとう〜」と口にしてくれた。

 

にこやかな笑みを浮かべながら。

 

それだけだった。

 

私は次に来るあの動作がないことに疑問符だった。

 

スマホを手に取りパシャパシャ。

 

自撮りでパシャパシャ。

 

そう、私にとって最高のリアクションは”言葉”ではないのだ。

 

”写真”

 

写真に思わず撮りたくなるほど、心が揺れたのだと表情や言葉にしなくとも、行動で感じるのだ。

 

別に感動していなくとも写真に撮る、撮ってしまうといった方がぴったりくるだろうか、そういう人が私の年代に多いことは知っている。

 

”写真フォルダがごはんでいっぱいになる”悪癖を知っている上でも、「後で見返したり、誰かに説明する時に出すのかな?」と嬉しいものなのだ。

 

結局私の友人は「その写真後で送って」と私に言付けした。

 

そうか、誰かが撮るから写真なんて送ってもらえばいい族だったか。

 

写真フォルダパンパン族、後からくれくれ族、他にも写真に関する族がいたら知りたいので教えていただきたい。

【白い粉の取引かよ】

オランダに住んでいる人(31歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。

 

 

【サボってません!】

 

オランダの住宅街にて、窓から馬が自転車道路を通っているのが見えて、「追い抜かすの怖」と思った日々を送っている。

 

先日、変わった配達先に遭遇した。

 

住所は駅前から遠く離れたホームセンターだった。

 

確かに、周りには飲食店が少なそうだった。

 

昼飯を持ってくるのを忘れたのだろう。

 

私はずかずかと店内に入る前に、入り口にあるインターホンで店員さんを呼び出すことに成功した。

 

この時間に押されることがないのか、出てきた彼女は些かいぶかしげな表情だった。

 

「Tさんへデリバリーです」

 

「うちにTはいないよ」

 

「え」

 

ここで時が止まったのは両者だった。

 

「この名前なんだけど、一応確認してもらえる?」

 

彼女にスマホを差し出すと

 

「うん、いない」

 

今度は明確に否定された。

 

「でも住所はここなんだよね」

 

そこでやっと”メモ書き”に気付いた。

 

デリバリーでは、お客様自身がメモを追加できるようになっている。

 

よく見かけるのは”今ドアベルが壊れてるから着いたら扉をノックしてください”だ。

 

今まで3回は壊れたドアベルをそのままにしているお客様に遭遇した。

 

「これ、オランダ語で書いてあるから読んでくれない?」

 

私は図々しくも再び彼女にスマホをかざした。

 

 

「この店の駐車場で待ってるって書いてあるよ」

 

駐車場。

 

家に帰る前に商品を受け取りたかったのか、家を見られたくなかったのか、なんで駐車場なんだ。

 

広大な駐車場を行ったり来たりするのは面倒だったので、ひとまず時間帯責任者に連絡し、お客様に電話してもらった。

 

するとすぐに責任者からチャットに書き込みがあった。

 

”お客様、今向かってるって”

 

おらんのかい。

 

せめておれよ。

 

駐車場を駆けずり回らなくてよかった、と私はそのまま店の前の木製ベンチに腰掛けた。

 

公園に置いてあるような、広いテーブル付きのベンチだ。

 

 

 

10分間、私は店の前にやってくる車を凝視していたのだが、そこで気付いた。

 

私は違和感の塊だ。

 

派手なオレンジのシャツを身につけた派手なオレンジのバッグを持っているのに、配達もせずホームセンターの前でのんびりしている。

 

来る人全員が私をちらりと見やるものの、声は掛けてこなかった。

 

私は全員に「休憩してるわけじゃないの!休憩するなら駅前に戻るし!なんでこんな辺鄙なホームセンターで休憩するねん!お客さんを待ってるの!」

 

と吹聴してまわりたかった。

 

もうどうしても気になったであろうご夫婦の男性が私に話しかけてきた。

 

 

 

「サボってるの?」

 

直球すぎて私の頭上には”!”マークが出ていたように思う。

 

「いや、お客さんがここの駐車場を指定したから来るの待ってるの」

 

「それは変な人だね」

 

「でしょう!?」

 

「でも、すごいいい天気でよかったね」

 

彼の言う通り、太陽が私のために照っているかのような快晴だった。

 

ベンチは陽で熱されてだんだん暖かくなってきていた。

 

 

「しばらく休憩できるじゃん」

 

「だからサボってないですって」

 

「はいはい〜」

 

男性は手をひらひらさせながら去っていった。

 

 

その後も、再び現れた違う従業員に「まだ来ないの?」と声をかけてもらったが、30分待ったところで時間帯責任者から連絡があった。

 

「連絡が取れなくなったので、キャンセルになりました。そのサンドイッチは君のものだよ」

 

お客様はペプシを2本も注文されていた。

 

快晴、ベンチ、サンドイッチ、ペプシ

 

このまま食べ始めるには絶好の場所だったが、そうすると完全にサボリになるので止めておいた。

【ヒルズ族pizza】

オランダに住んでいる人(31歳・♀)が送る限りなく異世界オランダ日記。

 

 

【ここに一枚のピザがあります】

 

オランダの住宅街にて、猫を見かけたので「ちょっと待って!」と猛速で家に帰り再び地上に降り立ったが、そこにもう猫はいなかった日々を送っている。

 

先日、配達で初めてのレストランに訪れた。

 

街のはずれにあったが、店内もテラス席も賑わっており「こんなところにイタリア料理屋さんがあったのか」と感嘆せんばかりの穴場だった。

 

「外のベンチで待ってて、僕が持っていくよ」

 

配達がメインの収入ではなさそうだったが、一応ライダーの待機場所が作られていた。

 

数分後、店員さんがベンチまでピザを持ってきてくれた。

 

大都会ユトレヒトでは「配達員さ〜ん!」とでかい声で犬のように店内まで呼びつけられることも多かったのでありがたいサービスだ。

 

ところで私は配達におけるピザが大好きだ。

 

早い。

 

とにかく焼き上がりが早く、待ち時間が少ない故にストレスも少ないのだ。

 

そのピザはオランダ人の好きな”SサイズなのにLサイズくらいある巨大ピザ(当社比)”ではなく、日本でもSサイズだった。

 

軽い。

 

ディナータイムは家族や二人分のオーダーが多いので、ラッキーだなと思いながらバッグに詰めた。

 

さて、この軽いピザを頼んだお客さんは随分街中に住んでいるらしい。

 

これもまた、どうせ次のオーダーが入れば、街中のお店に向かう必要があるのでラッキーだと喜んだ。

 

着いた先は、ロビーのオートロックがタッチパネル式だった。

 

相当新しい建物らしい。

 

ずらりと両脇に並んだ郵便受けで、一応お客さんの名前を先に確認した。

 

このマンションで間違いない。

 

新しいマンションだが、個人情報保護の観点はオランダにないらしいので、郵便受けにフルネームの記載があった。

 

扉を開けてもらうと、エレベーターが3基もスタンバイしていた。

 

どうやらエレベーターごとに、止まるフロアが分かれている模様だ。

 

まるでグランフロント大阪のオフィスだ。

 

昼飯時になかなか掴まらないで有名なエレベーターを思い出しつつ、目的のフロアに向かった。

 

エレベーターと部屋の前にまた一枚扉があるマンションだった。

 

この手のマンションは30年の年の功で分かる、かなり高級だ。

 

昔、代々木の占い師さんの事務所に訪れた時も、部屋の手前にもオートロックが備え付けてあって”何回、顔確認されなあかんねん”とイライラさせられたものだ。

 

ふかふかのフロアを土のついたニューバランスで進んだ。

 

出てきたお客さんは、お肌がぷるぷるの青年だった。

 

10代と言われても頷ける。

 

貴様、どのような経緯でこの高級マンションを手に入れた!

 

という表情をしてしまったか分からないが、彼はピザを受け取ると即座に中に引っ込んだ。

 

後で確認すると、若い人にもらったことのない額のチップをくれていた。

 

チップは主にご高齢の方に頂けることが多い。

 

この制度に馴染みがあるからだろう。

 

ケチじゃない金持ちは嫌いじゃない、たまに恩恵に授かれるので好きだ。

 

金持ち、金を使いまくるから金持ち論を思い出す夜だった。